日清食品(株)は、全国農業協同組合連合会 (JA全農) と “物流” および “原材料の調達・供給” に関する包括的な連携を開始した。両者はこの連携を通じ、物流の2024年問題の解決に向けた取組と、米穀など国産農畜産物の安定的な調達・供給に向けた仕組みづくりを進める。
両者は、社会的課題である物流クライシスに対応するため、岩手~茨城間と福岡~山口間の2つの「ラウンド輸送」スキームを確立。岩手~茨城間で行う荷主事業者間の「ラウンド輸送」では、茨城で生産した日清食品製品を岩手へ輸送したトラックを使用し、JA全農の米穀を関東へ輸送する。福岡~山口間で行う “調達物流” と “製品物流” を組み合わせた「ラウンド輸送」では、往路でJA全農から日清食品・生産工場に原材料を輸送したトラックを、復路で日清食品製品の輸送に活用する。
日清食品では、カップライス製品群の需要が年々高まっており、製品供給強化に向けた原材料確保について課題を抱えている。そこで、原料米調達の安定性を確保するため、JA全農と米穀などの国産農畜産物の調達・供給に関する取り組みを強化することでも合意。今後もサプライチェーンに関する業界や業種の垣根を越えた取り組みを積極的に推進していくとしている。
〇岩手~茨城間の「ラウンド輸送」
岩手にあるJAおよびJA全農の米穀保管倉庫から関東にある精米工場へ米穀をトラックで輸送した後、同じトラックで茨城にある日清食品・生産工場から岩手にある同社・製品倉庫にインスタントラーメンを輸送する。この荷主事業者間における「ラウンド輸送」により、従来に比べてトラック1台当たりの実車率が約12%高まる見込み。
〇福岡~山口間の「ラウンド輸送」 福岡にあるJA全農の精米工場から山口にある日清食品・生産工場にカップライスの原料米をトラックで輸送した後、山口にある同工場で作ったインスタントラーメンやカップライスを同じトラックで福岡にある日清食品・製品倉庫へ輸送する。この “調達物流” と “製品物流” を組み合わせた「ラウンド輸送」は、荷降ろし地と積込み地が同じで、その間の距離がゼロとなることから、ドライバー拘束時間を約7%削減できる見込み。また、従来は、日清食品・生産工場からJA全農・精米工場への物流資材 (空きパレット、空き容器)返却で別のトラックを活用していたが、今回のスキームでは、一部区間で物流資材と製品を一緒に輸送することが可能。このため、、従来に比べてトラックの積載率が約9%向上し、CO2排出量も約17%削減できる見込みだ。