キリンビール(株)⇒6月に名古屋工場で自動倉庫設備増強とピッキング自動化導入を実施/試運用を経て9月から最大出力で稼働、酒類保管スペースも拡張して2025年4月から運用開始

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 キリンビール(株)は6 月、キリンビール名古屋工場の自動倉庫設備増強とピッキング自動化を実施する。トラックにへの貨物積み込みを自動化する自動ラックのクレーンと入出庫ステーションを更新するほか、自動ラックの更新・稼働開始に合わせて新たにレイヤー自動ピッキング装置を導入。商品保管倉庫についても清涼飲料保管スペースを酒類倉庫に替えることで酒類保管スペースを拡張し、2025 年 4 月から運用を開始する予定。これら一連の取り組みに対する投資額は約 10 億円になるとしている。
 物流業界は、4月からの働き方改革関連法の適用やガイドラインの見直しにより、トラックドライバーの労働時間の短縮、労働環境の整備、荷待ち待機時間の短縮への対応に追われている。また、物流業務従事者全般の減少に伴い、将来的にはより少ない人数でのオペレーション体制の構築が必須となる情勢で、ドライバー不足の進行を見据えた、より少ないトラック台数での配送体制の構築も必要になっている。
 同社はこうした状況を踏まえ、今回のキリンビール名古屋工場の自動倉庫設備増強により、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間を短縮し、ドライバーの待機時間削減を推進する。また、ピッキング自動化により、省力化を進め、永続的なピッキング機能の確保と作業負荷軽減を目指す。さらに、酒類保管スペースを拡張し、繁忙期などに不足していた物流拠点能力を強化することで、慢性的に使用していた場外倉庫使用を抑制し、工場と場外倉庫を往復するトラック運行数が減らせるとしている。
 自動ラックの更新、とレイヤーピッキング装置の導入は 6 月に完了。試運用を経て、9 月から最大出力で稼働する予定だ。一方、拡張された酒類保管スペースは2025 年 4 月から運用開始する予定だという。

各取り組みの概要と期待効果

① 自動ラックの更新
 トラックへ積み込む貨物を自動で出庫する自動ラックのラック内で荷物の搬送を行うクレーン、入出庫ステーション(自動ラックの出入口)を更新し、入出庫能力を増強する。入出庫庫口数の増設と、出庫スピードを従来比の約 2 倍に向上させることにより、14 分/台の荷待ち時間を削減する予定。従来の自動ラックに比べ、倉庫の収容能力も3.3 倍にアップし、保管効率も向上する。

② レイヤー自動ピッキング装置の導入
 新たに、自動でピッキングを行うことができる装置を導入する。従来は、ピッキング作業者が棚に置かれた製品保管ラックに移動し、ラックからフォークリフトで製品を取り出し、出荷パレットに製品を載せて整えるといった一連の作業を実施していたが、同装置の導入で階層単位での自動でピッキングが行えるようになる。レイヤー自動ピッキング装置の導入は、同社工場場では初めて。ピッキングの自動化で作業者が約半分で済むなど、作業の削減・作業負荷軽減が見込める。ピッキングパレットの減少により、トラックへの貨物積み込みの生産性もアップし、5 分/台の荷待ち時間削減に寄与する。

③ 酒類保管スペースの拡張
 2023 年 2 月までキリンビバレッジ(株)の清涼飲料の保管・出荷機能として使用していた倉庫を、新たに酒類保管ができるように整備する。移行期間を経て、2025 年 6 月から本稼働する予定。従来場外倉庫と出荷拠点の工場を往復していたトラック約 2,000 運行が抑制され、場内に入構するトラックが減ることで混雑が緩和され、約 4 分/台の荷待ち時間抑制につながる。また、酒類倉庫拡張に伴い、積み込み回数が増えることに対応するため、積み込み場所の運用を変更し、ドライバーの工場内での総待機時間の抑制を図る。

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