オイシックス・ラ・大地(株)⇒AIを活用した「需要予測システム」をローンチ/調達における予測誤差率 20.2%の改善を実現

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 オイシックス・ラ・大地(株)は1月15日、データ活用のための同社内専門組織「Data Management Office(DMO)」で開発を進めていた同社初のAI活用「需要予測システム」(AI需要予測システム)を2023年11月にローンチしたと発表した。同社は、2022年から「ビジネスモデルとテクノロジーの力で地球にも人にもよい食を提供する」とのテーマを掲げ、テクノロジーとデータを活用したサステナブルリテール(持続可能な小売業)を実現する成長戦略を打ち出しており、その戦略の一環で発足したのがDMO。このDMOを通じてのAI需要予測システムのローンチにより、食品宅配サービス「Oisix」における過剰発注の減少とこれに伴う食品ロスの削減に加え、欠品減少による顧客満足度向上の実現を目指すとしている。

複雑な商流とサイロ化された情報によりデータ活用が遅れている食品業界
 食品業界のなかでも特に青果流通は、生産から販売、配送に至るまでの中間流通での介在者が多いため、デジタル化やシステムの連携が困難でデータの分断やサイロ化が起こりやすく、DXが遅れているのが現状。こうした情報流の分断で、上流では必要な情報が共有されないほか、共有されている需要予測・発注数も最新情報に基づかないものになっており、大きなサプライチェーンロスにつながる要因となっている。

AI需要予測システムの導入効果
 今回ローンチしたAI需要予測システムは、「Oisix」の主力商品である「Kit Oisix」の需要予測に使用する。従来は、担当者が一定のデータと経験値をもとに需要を予測していたが、その材料の全てを考慮に含めるには限界があったという。また、需要予測に相当の時間を要するため、本来必要な「売るための仕掛けを考える時間」が削られるという課題もあり、その解消のため、需要予測システムへのAI導入を決めた。2023年11月のローンチ後、ユーザーの行動や購買データのほか、レシピデータや販促データなどを学習させることで順調に予測誤差率(旧ロジックと新ロジックにおける相対改善率)が大幅に改善。ローンチからわずか1か月で20.2%もの改善にこぎ着けた。

AI需要予測システム導入でさらなる顧客体験の向上、フードロス削減へ
 AI需要予測システム導入で最適値での発注が可能になるため、欠品率と在庫回転率の改善が見込める。欠品率の改善については、買いたい商品が常に購入できるという顧客体験の向上につながるほか、販売機会ロスがなく売上向上にも寄与する。在庫回転率の改善については、売り切るための販促費や、物流コストの削減も可能になるほか、フードロスのさらなる削減にも寄与するものと同社ではみている。

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