
日本GLP(株)は、神奈川県川崎市で延床面積約20万5,000㎡、収容能力約18.6万tの国内最大級の冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設「GLP 川崎Ⅱ」を着工した。同施設は冷凍・冷蔵区画に加えて常温区画も備える点が特長で、2027年8月末に竣工する予定。同施設の一部には、SGホールディングスグループで低温物流事業を担う(株)ヒューテックノオリン、および食肉事業のリーディングカンパニー 小川畜産食品(株)の2社が入居予定となっており、着工前に施設全体の約25%の賃貸契約が締結されているという。
同施設は、冷凍・冷蔵物流施設が集積する川崎エリアに所在し、主要高速道路や最寄り駅、幹線道路へのアクセスに優れた立地環境にある。首都高速神奈川1号横羽線「浜川崎IC」から約1.5km、「大師IC」から約4.6kmの距離に位置し、関東全域をカバーするほか、羽田空港から約8.5km、川崎港コンテナターミナルから約9.2kmと、海上・空輸を利用した輸配送拠点としても活用可能だ。加えて、JR鶴見線「昭和駅」、川崎市営バス「昭和駅前」バス停から徒歩約1分、川崎鶴見臨港バス「レゾナック前」バス停から徒歩約2分の距離にあるため、通勤利便性が高く、雇用確保にも有利な条件を備える。
ヒューテックノオリンは、主要高速道路や最寄り駅、幹線道路へのアクセスに優れた同施設の立地利便性を高く評価。日本GLPの物流施設開発における実績なども評価しており、ヒューテックノオリン専用となる収容規模最大の冷凍物流拠点の開設も予定されている。一方、小川畜産食品は、日本GLPの冷凍・冷蔵物流施設の特長の1つである契約期間の柔軟性などを評価。自社倉庫建て替えに伴う保管品の移転先として同施設への入居を決定した。
冷凍食品消費量の市場は、2014年から2023年にかけて年平均成長率2.6%に達し、市場規模は26.2%増加。特にコロナ禍以降、家庭用冷凍食品の国内生産金額の伸びは顕著で、同期間で43.6%増加し、年平均成長率は4.1%を記録するなど、冷凍食品市場は堅調に拡大しており、今後も安定した成長が見込まれている。日本GLPは、2017年に冷凍・冷蔵の専門チームを立ち上げ、冷凍・冷蔵分野における知見を集約。現在、冷凍・冷蔵物流施設(うち3温度帯:約93.8万㎡、冷凍・冷蔵:約40.1万㎡)を33物件手掛けるに至っている。冷凍・冷蔵食品ニーズはあらゆる分野で拡大しており、これに伴って冷凍・冷蔵物流施設の需要も増加している。また、冷凍・冷蔵倉庫業界の「2030年問題」におけるフロンガス規制への対応のほか、労働力の確保、庫内オペレーションの効率化に向け、老朽化した倉庫に代わる物流施設の開発は喫緊の課題だ。
日本GLPはこうした動向を踏まえ、自社開発冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設の3つの特長である、①柔軟性(契約期間を常温の物流施設と同等、小規模区画、可変温度帯、高いトラックバース比率)、②環境配慮・省エネ(自然冷媒〈ノンフロン〉、太陽光発電の設置、全館LED等)、③入居企業による投資低減(冷凍・冷蔵設備に関わる初期投資、原状回復工事費、設備管理費について入居企業の投資負担ゼロ)をもとに、今後もマルチテナント型冷凍・冷蔵物流施設の標準化と賃貸型冷凍・冷蔵物流マーケットの伸長を目指すとともに、冷凍・冷蔵倉庫業界の「2030年問題」解決に貢献できる積極的な物件開発を推進する。
※「GLP 川崎Ⅱ」の施設概要
所在地:神奈川県川崎市川崎区扇町
敷地面積:約8万2,000㎡
延床面積:約20万5,000㎡
収容能力:約18万6,100t(C&F級:約2万8,500t、F級:約15万7,600t)
構造:地上5階建て、免震・PC造
着工:2025年3月
竣工:2027年8月末(予定)
認証取得:CASBEE認証、ZEB認証(予定)