富士フイルム(株)⇒先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強/国内拠点に約200億円を投資、半導体材料事業をさらに拡大

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 富士フイルム(株)は、半導体材料事業をさらに拡大するため、静岡と大分にある開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価などの設備を増強する。設備投資の総額は、約200億円に達するとしている
 5G・6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などにより、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれている。こうしたなか、半導体製造プロセスで使用する半導体材料については、より高品質・高性能な製品のグローバルで安定的な供給体制が重要となっている。同社は、フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー、薄膜形成材、ポリイミドなど半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした「Wave Control Mosaic(ウエイブ コントロール モザイク)」などをグローバルに展開。最先端から非先端まで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供で高く評価されており、国内外の生産拠点への積極的な設備投資を行い、半導体材料の生産能力拡大を進めている。
 今回は、半導体材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)が、静岡と大分にある2つの開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強するもの。静岡拠点では、極端紫外線(EUV)向けフォトレジストをはじめとする先端レジストや、Wave Control Mosaic開発・生産・品質評価機能を強化するため、約130億円を投じて新棟を建設する。新棟内にはクリーンルームを設置するとともに、最新鋭の検査装置などを導入。開発のスピードアップとともに生産能力の拡大、品質評価体制の拡充をさらに進める。また、大分拠点では、約70億円を投じて既存工場に隣接する土地に新棟を建設。半導体製造プロセスの基幹材料であるポストCMPクリーナーの生産設備や検査装置を導入し、大分拠点での生産能力を約4割拡大する。ポストCMPクリーナーは、半導体表面を均一に平坦化する工程で使用するもの。研磨剤であるCMPスラリーを使用した後、金属表面を保護しながら粒子、微量金属および有機残留物を洗浄する材料で、その市場成長は年率9%になるものとみられている。今回の設備増強により、ポストCMPクリーナーの安定・迅速供給を実現することで、さらなるビジネス拡大を図る。また、CMPスラリーと組み合わせて提案できる強みを生かし、顧客課題の解決に貢献するとともに、半導体のさらなる性能向上に寄与する意向だ。
 なお、静岡拠点の新棟の稼働開始は2025年秋、大分拠点の新棟の稼働開始は2026年春の予定となっている。

※「 静岡拠点」の設備投資概要
所在地:静岡県榛原郡吉田町川尻(FFEM静岡工場内)
総投資金額:約130億円
投資内容:先端レジストや「Wave Control Mosaic」の開発・生産・品質評価機能強化のための新棟(クリーンルームの設置・検査装置の導入などを含む)
稼働開始時期:2025年秋

※「大分拠点」の設備投資概要
所在地:大分県大分市大字下郡字中新地
総投資金額:約70億円
投資内容:ポストCMPクリーナーの生産能力増強、品質評価機能強化のための新棟(生産設備・検査装置の導入などを含む)
稼働開始時期:2026年春

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