コマツは、ナトリウムイオンバッテリーを搭載した電動式フォークリフトのコンセプトマシンを開発し、2024年3月からユーザー現場での実証実験を開始する。ナトリウムイオンバッテリーの搭載は同社として初めてで、フォークリフトへの搭載は世界でも先駆的な取り組みだという。同社は今後、ユーザー現場での試験を通じて、新しいバッテリーの性能やその特性を踏まえた最適な使用方法を検証し、量産化を目指す。
同社は電動式フォークリフト開発に関し、通常のバッテリー搭載機種のほか、補水不要な鉛バッテリー搭載機種や、長時間・重負荷作業向けのリチウムイオンバッテリー搭載機種を提供してきた実績がある。ただ、低稼働・軽負荷の現場では、イニシャルコストの高さなどからエンジン駆動式フォークリフトを選択されることも多く、現場の電動化にはまだ課題があった。
今回実証実験を行うナトリウムイオンバッテリーはエネルギー密度が低いものの、急速充電に対応できるため、頻繁に充電することで連続稼働が可能。また、サイクル寿命(充放電を繰り返せる回数)が長いことから、バッテリー劣化に伴う交換回数を減らせるため、ランニングコストの低減が期待できる。資源的な観点でも、ナトリウムは地球上に豊富に存在し、安定調達が見込めるとしており、将来的なコスト低減が期待できる点も魅力だ。
同社は、こうしたナトリウムイオンバッテリーの特性を踏まえ、低稼働・軽負荷の現場に適した選択肢を提供するため、今回コンセプトマシンを開発した。このコンセプトマシンは、同社の1.5tクラスの電動式フォークリフトに、中国・Jiangsu Highstar Battery Manufacturing Co.,Ltd 製ナトリウムイオンバッテリーセルを採用するとともに、中国・Shanghai Hirano Environment Technology Co.,Ltd が開発したナトリウムイオンバッテリーパックを搭載している。同社は今回の実証実験を通じ、電動式フォークリフトの選択肢を増やすことで、あらゆる現場の電動化を加速し、環境負荷低減とカーボンニュートラルの実現を目指す。