アスクル(株)⇒「AVC 関西」で(株)ギークプラスの新GTPソリューション「PopPick」を導入・稼働へ/ロングテール商品拡大に向け「高密度収容」「庫内作業効率化」を目指す

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 アスクル(株)は 12月21日、同社最大の物流拠点「ASKUL Value Center 関西(AVC 関西)」に(株)ギークプラスの新GTPソリューション「PopPick」318台を導入し、そのうちの約7割となる246台を稼働させる。今回の同ソリューション導入は、同社が中期経営計画で重要施策に掲げる「品揃え拡大」に対応するもの。庫内作業のさらなる生産性向上に向け、引き続き物流DX を推進する意向だ。
 PopPick は、従来とは異なる新たなGTPソリューション。在庫商品の入った折りたたみコンテナを収納した棚をロボットがピッキング作業場所となる「PopPick ステーション」に搬送すると、PopPick ステーションが自動的に棚からコンテナを取り出し、作業者の手元に届ける仕組みで、作業者は定点でピッキング作業を行うことができる。従来の GTP ソリューションに比べて面積あたりの商品保管効率が高く、より多くの商品アイテム数を保管が可能だ。

 同社は、今回の同ソリューション導入により、従来比約2倍の保管効率を見込む。商品の大量保管が可能になるため、ロングテール品の品揃え拡大ができるほか、定点でのピッキング作業の実現や、非稼働時の自己学習機能の効果も含め、生産性が約3.8倍向上する見通しだとしている。同社はまた、同ソリューション導入が商品の品揃え拡大への対応に止まらず、同社物流における自動化・DXを一歩飛躍させるものと位置づけている。

■GTPソリューション「PopPick」の概要
 PopPick は、商品をオーダー別に集約するピッキング作業工程に向けたソリューション。在庫商品は、折りたたみコンテナを高さ約 3.8m、縦 10 段に積んだ棚に高密度保管される。受注データに応じ、ロボットがこの保管棚をPopPick ステーションに搬送すると、PopPick ステーションが自動的に棚からコンテナを取り出し、作業員の手元に届ける。作業員はその場で、手元に届いたコンテナから必要個数を出荷コンテナに取り分けるだけでピッキング作業を完了することができる。今回AVC 関西に導入したPopPickは318 台導入。12月21日を第 1 期として そのうちの246 台を稼働させ、2024 年春を第2期として残り72台を稼働させる予定だ。
 同社は、これまでにも完全無人のピッキングロボットや協業型 AMR、作業員を定点固定する GTPなど、様々なロボットを導入してきた。いずれも作業者の歩行負荷を減らし、作業効率を高めるものだが、PopPickが他のソリューションと異なる特徴は、以下 3 点になるという。

【PopPick の特徴】
① 防火シャッター下の高さいっぱいまで商品コンテナを棚に積載可能な点
 AVC 関西の床面から庫内防火シャッター下までの高さ 4mに対し、最大限の高さである約 3.8mの棚を導入し、10 段のコンテナを積載が可能。棚の中のコンテナ同士も 2cmの間隔で配置され、棚と棚の間にも人の歩行のための通路がないため、高密度に大量の商品を保管できる。
② 作業員が棚から商品を手作業で取り出さず、PopPick ステーションが自動で行う点

 従来の棚搬送型 GTP ソリューションは、作業員が棚から商品を取り出す作業は手作業だが、PopPickではステーション自体が対象のコンテナを自動で取り出し作業員の手元に届ける。
③ 受注データ等に基づき今後の注文を予想し、非稼働時に「注文頻度の高い商品」の入ったコンテナ同士を別々の棚から同じ棚に自動で集約する点

 受注データ等を基に今後の注文を予想し、非稼働時間を利用して別々の棚に配置されている商品を注文頻度別に同じ棚内に集約する。それにより、棚の搬送回数が少なくなり、タイムロスの少ないより効率の良い搬送を実現。
■GTPソリューション「PopPick」の導入背景
 2025 年 5 月期を最終年度とする中期経営計画で、同社は品揃え商品の拡大を宣言し、「強みの高速物流を進化させ、ロングテールも「明日来る」(あすくる)を実現」することを掲げている。特に「医療機関・介護施設(メディカル領域)」「製造業(MRO 領域)」を 2 大戦略業種と位置づけ、専門商材=ロングテール商品の品揃えを拡大することで、新規獲得と買い回り拡大を目指している。物流センターでこれまで以上に多くの商品アイテムを収容し、効率よく出荷できる体制が求められているのもこのためで、このことから同ソリューション導入を決めたとしている。

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