DHLジャパン(株)は、DHL Expressが行っていた香港の「セントラルアジアハブ(Central Asia Hub: CAH)」の拡張工事が完了し、全面稼働を開始したと発表した。近年の世界貿易の急成長に対応するもので、2004年の開設以来、複数回にわたる工事の通算投資総額は5億6,200万ユーロに到達。DHLグループはアジア太平洋地区における今後の成長機会を確信しており、今回の拡張工事は国際航空ハブとしての香港の発展へのコミットメントの現れでもあるとしている。
アジアの中心に位置するセントラルアジアハブは、世界で最も急速な発展を遂げるアジア地域へのユニークなゲートウェイとして機能している。DHL Expressは、2024年までに完成予定の香港国際空港第3滑走路の立ち上げに合わせて、施設の拡張に着手。増強工事を終えたハブは、貿易と通商を促進する世界の航空センターとしての香港の役割をさらに強調することになるとしている。
セントラルアジアハブは、アジア太平洋地域および汎珠江デルタ地域の主要都市まで飛行機で4時間以内という戦略的な立地にある。DHL Expressのアジア太平洋地区の航空ネットワークは、香港のセントラルアジアハブ、上海の「北アジアハブ」、シンガポールの「南アジアハブ」、「バンコクハブ」の4か所のハブに支えられたマルチハブ戦略に基づいて運営されており、これらのハブはアジア太平洋地域にある約900のDHL Express施設と接続している。セントラルアジアハブには週200便以上の専用フライトが発着しており、さらに、アジア域内では1日約690便にのぼる航空便を活用している。
〇生産性と精度を高める技術を導入
エアサイドとランドサイドの両方にダイレクトにアクセスできるセントラルアジアハブは、エアエクスプレス貨物仕様に建設された香港国際空港で唯一の施設。倉庫総面積が50%増の4万9,500㎡となり、最新鋭の自動仕分けシステムが導入されたことで、ハブのピーク時の処理能力は70%近く向上し、1時間当たり12万5,000件の貨物処理が可能となっている。フル稼働時の年間総トン数は50%増の106万tになる見込みで、これは2004年のハブ設立当初の出荷量の6倍にあたるという。
業務の効率性と正確性を追求する同ハブは、香港のエクスプレス貨物業界で初めてコンピューター断層撮影(CT)X線スキャン技術を導入。このX線スキャナーにより検査速度が2倍速に向上し、さらに禁止アイテムの迅速かつ正確な検出も可能になっている。
〇持続可能性を中核に据える
クライメートニュートラルな施設の建設は、DHLが掲げる環境戦略「Strategy 2025におけるサステナビリティ・ロードマップ」の目標の一つ。オペレーションにおける卓越性とサステナビリティの両立にコミットすべく、DHLは、先進的なテクノロジーとベストプラクティスを活用し、効率的かつ環境負荷の低い荷動きを実現する。ハブ施設の屋根には3,450枚のソーラーパネルを設置。太陽光発電の総発電量は推定年間168万kWhとなり、これは年間850tのCO2排出量削減に相当するとしている。
DHLは、アジア太平洋地区で初めて二次電池電力貯蔵システム(BESS)を導入しており、香港国際空港にとってもBESSを導入した初のビジネスパートナーになる。このシステムにより太陽光発電の余剰電力を蓄え必要時に放出することで、年間12万5,000kWhの電力を節約し(49tのCO2排出量削減に相当)、再生可能エネルギーの利用を最大化する。その他、電動フォークリフト、LED照明、高効率空冷式冷却機など、環境に配慮した設備を採用し、温室効果ガスの排出削減を図っている。
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