物流施設 投資関連情報2021版<9.16~9.22>

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<2021年以降に建設・竣工・稼働する物流施設の情報> 

※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
 注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。

■日本GLP(株)<9月16日>
⇒千葉県流山市で「GLP ALFALINK 流山 8」が竣工、日本最大級の大規模多機能型物流施設開発プロジェクト「ALFALINK」

日本GLP(株)は、千葉県流山市で延床面積約155,000㎡の先進的物流施設「GLP ALFALINK 流山 8」の竣工式を行った。「GLP ALFALINK 流山 8」は、大規模多機能型物流施設開発プロジェクト「GLP ALFALINK 流山」の4棟目で、すでに佐川急便(株)、山九(株)、GBtechnology(株)、(株)コミネ、ナガセテクノサービス(株)など10数社の入居が決定している。
「創造連鎖する物流プラットフォーム」をコンセプトとする「ALFALINK」は、従来の物流施設における効率化・最適化に止まらず、これまでにない価値や事業を創造するための拠点となる施設。「Open Hub」(物流をもっとオープンに)、「Integrated Chain」(サプライチェーンをつなぐ)、「Shared Solution」(ビジネスの進化をサポート)をキーワードとし、同社ではコンセプトに基づいた様々な設備、サービスを提供するとしている。入居企業は「ALFALINK」のコンセプトに共感しており、立地の良さや、入居カスタマー間での連携への期待に加え、雇用の確保、アメニティの充実(カフェテリア、シャトルバス)などの点を高く評価している模様だ。
「GLP ALFALINK 流山 8」はプロジェクト最大級の延床面積約16万㎡を有し、Open Hubのコンセプトのもと、入居企業従業員のほか地域住民に利用されることを想定し、各種イベントが開催可能な交流広場「ALCO Park」を併設した。流山市の緑豊かな環境との調和を図りながら、人々の交流を促し、地域にとって開かれた物流施設を目指す意向だ。さらに施設内のベーカリーカフェ「カフェ・ド・クリエ」やレストラン、カフェテリアも開放。「GLP ALFALINK 流山」全周をまわるランニングコースを設置し、入居企業従業員の快適性を高めるとともに、地域住民の生活空間の豊かさを演出する。
Integrated Chainでは、サプライチェーンの全て(商品企画から配送)を1か所に統合することが可能。ターミナル機能を設け、複数企業のオペレーション連携を促進するとともに、効率化が図れるものとなっている。また、工場用途としての活用などを含め多機能な倉庫スペースの提供により、入居企業のサプライチェーンの統合をサポートする。
また、Shared Solutionとして人材・輸配送・自動倉庫化などのソリューションも提供する。「GLP ALFALINK 流山 1~3」ですでに利用され、雇用促進面で入居企業から高く評価されている人材派遣会社も新たに2社(SGフィルダー(株)、(株)バイトレ)入居しており、「GLP ALFALINK 流山」全体で3社の人材派遣会社サービスが利用可能となっている。また、将来的には利用状況に応じて「GLP ALFALINK 流山 2」に続く2拠点目の託児所の開設も検討しているという。
 BCP面では、免震装置に加えて、非常用発電機を設置することにより災害時にも電源が供給できるほか、井水の再利用も可能。環境面では再生エネルギーの創出、グリーン電力とカーボンオフセットなどの取り組みを行い、LEED認証ゴールドの取得も予定している。「GLP ALFALINK 流山」ですでに稼働している「GLP ALFALINK 流山 1~3」の3棟ではすでにLEEDゴールド認証を取得している。なお、「GLP ALFALINK 流山」は、流山市と佐川急便の3者間で災害協定を締結しており、災害時には近隣住民の方々に避難場所として施設を開放し、地域の防災拠点としての役割も果たすとしている。
 「GLP ALFALINK 流山 8」は、都心からの距離が約25km、常磐自動車道「流山IC」近接、首都高速6号線三郷線/常磐自動車道「三郷IC」から約6kmと、関東広域配送の物流拠点として最適な立地にある。従来の物流施設にはなかった生産加工、保管、流通加工、配送まで、物流サプライチェーンをトータルで網羅し、人材・スペースのシェアリングを具現化する次世代型の物流施設となっている。

※施設概要
敷地面積:69,598.54㎡
延床面積:155,093.14㎡

構造:地上4階建て、免震・PC造(一部鉄骨造)

■(株)資生堂<9月17日>
⇒新たなサプライチェーン拠点を大阪茨木市に設立、工場、物流、コンシューマーセンター、一般向け見学コースの4つの機能が揃う拠点として2021年9月から始動

(株)資生堂は、プレステージスキンケア製品の生産と物流を担うサプライチェーン拠点として、大阪府茨木市に2020年12月に竣工した大阪茨木工場と西日本物流センターを、工場、物流、コンシューマーセンター、一般向け見学コースの4つの機能を備えた新しいコンセプトのサプライチェーン拠点として2021年9月から始動させた。
同社は、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」になるため、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のもと、抜本的な経営改革を実行している。2030年までにスキンビューティー領域における世界No.1の企業になることを目指し、2021年~2023年の主要戦略では、「高収益構造への転換」、「スキンビューティーへ注力」、「成長基盤の再構築」を掲げており、今回のサプライチェーン拠点の始動は、「高収益構造への転換」として生産性向上や、「スキンビューティーへ注力」するものとしての生産体制強化のほか、「成長基盤の再構築」としてサステナビリティを意識した生産供給体制を整えるものとしての意味を持つ。同拠点では、生産を担う工場に同社として初めて物流センターを併設し、生産から輸送にかかる作業効率を上げ、輸送時にかかるコストや環境負荷を軽減し、また地域に開かれた工場として一般消費者向けの見学コースと、一般消費者の声をものづくりに生かすためのコンシューマーセンター分室を新たに設置した。また同拠点にある大阪茨木工場は、プレステージスキンケア製品の生産工場として、同社スキンビューティー領域の生産をグローバルでリードするとしている。
大阪茨木工場では、88の国と地域で展開するブランド「SHISEIDO」の美容液アルティミューンをはじめ、グローバルラグジュアリーブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」を中心とした、プレステージスキンケア製品を生産する。「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、2023年以降生産数量を約1.6億個まで引き上げ、将来の需要に対応する意向だ。
大阪茨木工場はまた、環境に配慮した建屋構造を有し、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)のA評価を取得している。外壁に軽量で断熱性に優れたサンドイッチパネルを採用し、建物内の断熱性能を引き上げ、工場、物流センターを運営するエネルギー(CO2)の約30%削減が可能だ。また、製造時に使用する冷却水については、循環水の再利用で年間65,000tの使用量削減効果が見込める。加えて、工場と物流センターを隣接させることにより、製品輸送時のCO2削減効果は年間60t以上が見込めるとしている。
同社は、「PEOPLE FIRST」との考えから、人材が会社にとって最も大切な資産であり、「強い個が強い会社をつくる」という組織を目指し、人材育成にも積極的に投資している。サプライチェーン拠点でも高い品質を支えるのは「人」であるという考えから、「人」が働きやすい環境を採用。従業員の6割以上を占める女性目線でのワークプレイス改革をはじめ、場所とスタイルを自由に選択できるABW(Activity Based Working)の考え方に基づいたフリーアドレスのオフィス環境を取り入れ、全スタッフ部門を集約した広い空間を設計した。これにより、部門間の交流による業務効率の最大化や、新価値の創出を満たすオフィスを実現。全社員が利用する食堂は、全面の窓から自然光が入る、開放的な円形の吹き抜け構造で、同拠点のシンボルともなっている。生産現場では、充填仕上げエリアにおいて、材料資材やバルクなどの運搬作業を自動化する最先端のIoT導入により、作業負荷が軽減され、社員が働きやすい職場環境を実現している。
同社は、大阪茨木工場を地元茨木市に根付かせ、地域住民との信頼関係構築に向けた継続的な取り組みを重視する方針で、地域に開かれた工場として、民間、官公庁、学校など、地域の交流活動の場となれるよう、地域との共存共栄を目指す。また、単なる工場としての機能だけではなく、工場から世界の人々にブランド価値と品質へのこだわりを発信し、資生堂ファンを増やす拠点としても位置付け、一般消費者向け見学施設を導入した迎接棟「SHISEIDO BEAUTY SITE」をオープンし、2022年以降工場見学をスタートする予定だ。
一方、西日本物流センターは、大阪茨木工場の他に当社の国内工場で生産された商品を入庫、保管し、全国7か所ある出荷センターへ在庫を供給する物流の機能(物流センター)と、関西エリアを中心とした近隣のリテーラーに商品をお届けする出荷機能(商品センター)を担う、同社運営の統合型物流センター。国内最大規模の商品保管自動倉庫を導入し、隣接する大阪茨木工場で生産された商品の入庫を自動化することで、作業の効率化を図った。また工場、物流センター、商品センターの機能を集約することにより、効率的なサプライチェーンを構築。市場への商品供給リードタイムの短縮と輸送コストの削減が可能となっている。
西日本物流センターには、同社独自の機能を追加した次世代型マルチシャトルに製函・封函の自動化装置を加え、商品のピッキングから梱包と荷札のラベリングまでが自動で行える歩行レスの出荷システムGP3(Goods to Person for Pick and Pack)を採用した。このシステムは、物流センターの4階と3階の2階層に渡り稼働し、高い出荷能力を有する、効率化を最大限に追求した世界初の出荷システムだとしている。荷積み(パレタイジング)や荷下ろし(デパレタイズ)の自動化など、徹底的な省人化を実現し、効率的に製品を市場に届ける設備を備えている。
同社は、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のもと、生産拠点戦略においては、グローバルな視点でサプライチェーン戦略の構築を進めており、原価だけでなく、リードタイムや在庫、原材料調達など様々な要素を加味し、各工場にて、柔軟に対応できる体制づくりを目指している。また、IoTやAIなどの最新技術を取り入れた最先端工場を目指し、同時に働く人が誇りを持って快適に働ける工場とすることで、業界をリードできるモノづくりの体制を構築していく。またアフターコロナを見据えた、将来予想される国内外の化粧品需要拡大に対応するため、2019年の那須工場、今回の大阪茨木工場に続き、来年2022年度上期には福岡久留米工場(福岡県久留米市)を稼働させる予定だ。

※大阪茨木工場/西日本物流センターの概要
土地面積:72,435㎡
建築概要:地上7階(鉄骨造)
投資規模:約635億円
工場機能(名称):大阪茨木工場
生産品目:国内外向けプレステージスキンケア製品
生産能力:年間約1億6,000万個 (2023年以降)
配送範囲:西日本エリアを中心
保管能力:33,000パレット
※西日本物流センターは2021年3月1日に稼働

■(株)関通<9月17日>
⇒物流センターの新設及び物流設備等の固定資産の取得を決議

 (株)関通は9月17日開催の取締役会で貸主(近畿総合リース(株)、JA三井リース建物(株))との建物賃貸借契約により物流センターを新設するとともに、物流設備等の固定資産を取得することを決議した。
同社は、関西圏及び首都圏に自社運営拠点として 15 拠点の物流センターを展開し、主に EC・通販事業を展開されている顧客に対し、EC・通販物流支援サービスを提供している。EC市場における物流サービスの需要の高まりに対応し、新規顧客獲得を強化するため、貸主との建物賃貸借契約により、同社EC 通販物流センター(兵庫県尼崎市)の隣接地に新たに物流センターを新設し、物流設備をはじめとする固定資産も併せて取得することを決めた。

※新物流センターの概要
賃貸借期間:2022年12月1日~2027年11月30日(予定)
賃貸面積:[倉庫部分]3,882.77 坪/事務所部分]239.51 坪
構造:鉄骨造4階建
サービス提供開始日:2022年12月1日(予定)
※設備等の取得の概要
敷金:1億600万円 (支出予定2021年9月~2022年11月)
物流設備及び付帯設備:1億1,000万円(支出予定2022年12月~2024年2月)
合計: 2億1,600万円

■(株)日立ハイテク<9月17日>
⇒サプライチェーンマネジメントを強化、福岡・大牟田に高効率の自動倉庫が完成

(株)日立ハイテクは、BCP拠点である(株)日立ハイテク九州のSCM強化を図るため、医用製品および消耗品製造に使用する、各種部品の受入・検査・仕分・配送を担う新倉庫「大牟田ecoサイトAG(Ariake Gateway )棟」を竣工した。
 日立ハイテク九州は2016年に設立されて以来、医用・バイオの消耗品と免疫装置の製造を展開しており、2018年10月からは検体搬送装置の製造も行っている。従来、部品の保管、生産ラインへの部品供給は鳥栖市にある賃貸倉庫に業務を委託していたが、生産ラインとの一体的な運営による事業の効率化を図るため、近隣で交通アクセスに優れた大牟田エコタウンにAG棟を建設した。日立ハイテク九州で製造する製品の前工程部分(部品受入、部品検査、生産ラインへの供給等)を大牟田エコタウンに集約することで、輸送費削減、JIT配膳、品質管理、業務の効率化を図るとともに、製造基盤の強化を実現するとしている。

※AG棟の概要
所在地:福岡県大牟田市健老町
敷地面積:約9,000m2
延床面積:約3,100m2
構造:鉄骨造

■野村不動産(株)<9月21日>
⇒高機能型物流施設「Landport 青梅Ⅲ」が満床稼働開始、シリーズ初の自家消費型太陽光設備を採用

野村不動産(株)は、高機能型物流施設「Landport」シリーズの 21 棟目となる「Landport 青梅Ⅲ」が満床稼働開始したと発表した。
「Landport 青梅Ⅲ」は、旧東芝青梅工場跡地の約3.6万坪(約 119,965 ㎡)を 3 期に分割して開発するシリーズ初の大規模面開発事業のⅢ期棟。含まれる物件 3 棟はいずれも利用業種(カテゴリー)を物件ごと、あるいはフロアごとに特定したカテゴリーマルチ型施設で、「Landport 青梅Ⅰ」は自動車部品等の工業材・保守パーツ用に、「青梅Ⅱ」は飲料等の重量物の保管・荷役用に、そして「青梅Ⅲ」は通販用に最適化した施設となっている。
大規模面開発事業ならではの要素として地域の雇用創出への貢献、周辺地域へ開かれた通路「ツナグロード」の設置や、地域住民が災害時に利用できるかまどベンチを「ツナグロード」に設置するなど、地域社会との共生にも取り組む。エントランスやカフェテリアには、青梅の地形や工芸品をイメージしたデザインを採用、素材には多摩産材を活用するなど、地域の特徴を生かした施設に仕上げたという。
「青梅Ⅲ」では、環境への配慮とランニングコストの削減を目的に、全館 LED 照明のほか、Landport シリーズ初の自家消費型太陽光設備も採用。なお 2021 年 3 月現在、Landport シリーズは計 18 棟に太陽光パネルを設置し、年間 21,925,777kwh の発電を行っており、野村不動産グループ全体の再生可能エネルギーの活用推進にも寄与している。
同社は、利用企業の業種(カテゴリー)を物件ごと、あるいはフロアごとに特定し、標準仕様にカテゴリー特有の機能を付加したカテゴリーマルチ型施設を中心として「Landport」シリーズの開発を進めてきた。直近では、EC 拡大や在宅勤務・巣ごもり需要増大を背景に物流施設需要が増加するなか、2021 年 4 月以降の 2 年間で総額約 850 億円(棟数9棟、延床面積約118,000坪)の投資を決定している。加えて 2021 年からは、ハード面のみならず自動化(省人化・機械化)などソフトサービスも含めた物流オペレーションの最適化を目指し、企業間共創プログラム「Techrum」を開始した。今後もより総合的に物流課題解決に取り組むとともに、入居企業や地域社会の需要に応えながら、事業の拡大を図っていく構えだ。

※「青梅Ⅲ」の仕様・設備
〇梁下有効高 7.0m / 全面防火シャッター…自動化機器導入など、柔軟なレイアウト設計が可能
〇立体駐車場棟の併設…従業員の車通勤にも対応し、雇用確保に貢献
〇液状化の可能性が低い強固な地盤…敷地は、「液状化予測図」(東京都)において「液状化の可能性が低い地域」で、「青梅市防災マップ」においても浸水想定が無いエリアに区分されており、直接基礎が可能な地盤。

※「青梅Ⅲ」の物件概要
敷地面積:39,747.10㎡(12,023.49 坪)
延床面積:67,563.73㎡(20,438.03 坪)
建築概要:RC+S造、地上3階建

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