■物流施設 投資関連情報2024版<9.5~9.11>

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<2024年以降に建設・竣工・稼働する物流施設・工場の情報>

■三菱地所(株)、大成建設(株)、中央日本土地建物(株) <9月5日>
米国東海岸ヴァージニア州で大規模物流施設開発事業に参画/米国で事業拡大中の日系企業JVでの取組、5棟・総延床面積約22万㎡の物流施設開発へ


 三菱地所(株)、大成建設(株)、中央日本土地建物(株)の3社は、各社の米国法人を通じ、ロックフェラーグループ社と米国ヴァージニア州の有力デベロッパーであるMatan社が推進する米国主要港のヴァージニア港(ヴァージニア州ノーフォーク)付近における大規模物流施設開発事業「PORT 460」に参画する。同事業は敷地面積約243エーカー(約100万㎡)に5棟・総延床面積約22万㎡の物流施設を開発するもので、総事業費は約500億円にとなる見込み。順次施設棟の建設を進め、2027年に全体竣工となる予定だ。
 米国・東海岸中部の物流を担うヴァージニア港では、おう盛な港湾需要への対応から大規模インフラ拡張工事が進められており、工事完了後は米国東海岸で最も深い水深(16.5m)を有する港になるという。付近の物流施設の空室率も低位で推移しており、今後も物流需要の拡大と賃料上昇が見込まれるとしている。
 同計画地は、ヴァージニア港と、米国を南北に縦断し、ボストンやニューヨークなどの主要商業都市を結ぶ州間高速道路「I-95」の間に位置し、I-95につながる2つの幹線国道の結接点に面する。計画では、貨物車用の駐車スペースを多く備えたClass Aの物流施設5棟を3フェーズに分けて建設するとしており、完成後は大手小売事業者やEC事業者などの利用が見込まれている。

※「PORT 460」の開発概要                                   
所在地:2925 Pruden Blvd, Suffolk, VA
用途:物流施設、商業施設
敷地面積:98万3,000㎡(全5棟)
総延床面積:約22万4,000㎡(約6万8,000坪)
総事業費:約500億円
事業シェア:非開示
着工:2024年9月~2026年(予定)
竣工:2025年~2027年(予定)

■プロロジス<9月9日>
郡山中央SIC隣接地に(株)フクダ・アンド・パートナーズと先進的物流施設の集積パークを共同開発/計約13万8,000㎡の開発面積にBTS・マルチテナント型物流施設を複数棟開発予定


 プロロジスは、(株) フクダ・アンド・パートナーズとともに、福島県郡山市で先進的物流施設の集積拠点となる物流拠点集積パークを共同開発すると発表した。
 同開発地は、東北地方を縦断する東北自動車道と太平洋岸・日本海岸を横断する磐越自動車道とが交差する郡山JCT近接の東北自動車道「郡山中央SIC」隣接地に位置しており、首都圏へ約3時間、仙台市へ約1時間、新潟市まで約2時間で到達可能。東北エリアで仙台市に次ぐ人口集積地である郡山市(人口32万人)の中心部から車で20分(約7km)とアクセスしやすく、雇用にも有利な立地だ。災害時には磐越道など迂回ルートが確保可能で、東北・首都圏にも災害支援物資を運べるなどBCPの観点からも立地優位性がある。
 同開発では、計約13万8,000㎡の開発面積に、プロロジスがBTS・マルチテナント型物流施設を複数棟開発予定。プロロジス施設と隣接する区画には、フクダ・アンド・パートナーズが物流施設「福島郡山LLタウン棟」を開発し、同社が展開する「福島郡山未来共創センター」を物流施設に併設する計画だという。
 同物流拠点集積パーク内の各施設と機能連携を進める福島郡山未来共創センターは、平常時と災害時で機能が変わる防災型リバーシブルビルとする計画。電気の3次バックアップシステムを備え、災害時には地域避難拠点、または広域防災連携拠点として機能もする予定だ。飲料や非常食など約6日分の防災食料を備蓄し、災害時には避難者に無償で提供するほか、備蓄型組立仮設トイレ「ほぼ紙トイレ」の在庫保管拠点とし、入居企業の配送網を活用した被災地への迅速な配送が行えるとしている。また、開発区域内には防災公園を設置。災害時にはヘリポートとし、入居企業と連携して救援物資集積拠点として活用するなど、福島県や郡山市と連携した広域防災拠点としての仕組み作りに取り組む。
 なお、それぞれの施設建設にはCO2削減を見込める高炉セメントや電炉鋼材を採用する。また、屋上には太陽光パネルと蓄電池を設置し、再生可能エネルギーを区域内に循環させる計画で、EVから建物などへ給電する「V2Xシステム」の導入を予定しており、福島県沿岸部の市町村との再生可能エネルギーを活用した広域防災連携をめざす。
 さらに次世代の物流施設を見据えた取り組みとして、山間部でのドローン物流の検証や東北自動車道で自動運転の実証実験、隣接地への水素ステーションの誘致・利活用をめざすという。

※当該物流拠点集積パークの開発概要
開発地:福島県郡山市大槻町中ノ平地内
開発区域面積:約13万8,000㎡(約4万2,000坪)
開発スケジュール:
第Ⅰ期造成:2024年4月~同年12月
第Ⅱ期造成:2024年4月~2025年9月

■明治ホールディングス(株)<9月6日>
神奈川県厚木市に(株)明治の新工場を建設し、生産体制再編へ/現配送センターの1.5倍の製品収容能力と2倍以上の入出庫能力とする計画、2025年4月に稼働予定


 明治ホールディングス(株)は、同社事業子会社の(株)明治において、神奈川県厚木市に新工場を建設するとともに、生産体制を再編すると発表した。
 同社グループは、国内デイリー事業の最適生産体制の構築とサステナビリティの推進に向け、生産体制の再編に着手する。ヨーグルトを中心に生産能力を最適化することで、固定費削減と生産効率化による収益性の向上を図るとともに、デイリー事業をよりサステナブルな事業に変革するため、そのモデル工場として新工場建設を決めた。
 デイリー事業は、多様化する顧客ニーズへの対応、生産や物流における労働力不足、食品ロスなどの課題を抱えているという。神奈川新工場では、新たな生産技術の導入による賞味期限の延長、需給システムの高度化などに取り組み、デイリー事業をより快適な労働環境とさらなる環境負荷低減に対応するサステナブルなビジネスモデルに変革する。また、環境面では、エネルギー効率の高いヒートポンプの導入や太陽光パネルなどの再生エネルギーの活用により、CO2排出量ゼロを可能とするカーボンフリーな次世代スマートファクトリーを実現し、同社グループがめざす環境に配慮した生産体制の構築をさらに前進させるとしている。
 生産体制の再編については、神奈川新工場の建設・稼働に伴い、現神奈川工場、東北工場および戸田工場の生産を中止する。生産を中止するこれら3工場で生産する商品群(プレーンヨーグルト、ドリンクヨーグルト、明治おいしい牛乳およびチルドザバスミルク等)は、神奈川新工場および既存工場に生産移管する予定だ。

※「神奈川新工場(仮称)」の建設概要
名称:未定
建設予定地:神奈川県厚木市酒井地区
敷地面積:9万9,999㎡(3万250坪)
工場建築面積:1万7,271㎡
投資額:約400億円

■(株)SUBARU、パナソニック エナジー(株)<9月6日>
SUBARUの生産予定バッテリーEV向けにパナソニック エナジーが次世代車載用円筒形リチウムイオン電池供給へ/群馬県大泉町に両社でリチウムイオン電池工場を新設


 (株)SUBARUとパナソニック エナジー(株)は、車載用円筒形リチウムイオン電池の供給に関する協業基本契約の締結と中長期的パートナーシップについて協議を踏まえ、SUBARUが2020年代後半から生産予定のバッテリーEV向けに、パナソニック エナジーが次世代車載用円筒形リチウムイオン電池を供給するほか、群馬県大泉町に両社でリチウムイオン電池工場を新設する計画を策定し、その準備を本格化すると発表した。
 SUBARUは、2030年にグローバル販売台数120万台のうち50%をバッテリーEV化することを目標に掲げており、パナソニック エナジーとともに市場が拡大するバッテリーEVならびに車載用電池の需要へ対応する。同協業においては、パナソニック エナジーが2027年度から大阪の住之江工場で、さらに2028年度からは両社で群馬県大泉町に新設するリチウムイオン電池工場で生産・供給する円筒形リチウムイオン電池を使用し、SUBARUが生産予定のバッテリーEVに搭載する計画。本事業のためのパナソニック エナジーの国内2拠点でのセルの生産容量は2030年末までに年間20GWhとする計画で、パナソニック エナジーの国内の生産能力は大幅に増強されることになる。
 日本政府は、蓄電池が2050年カーボンニュートラル実現のカギであり、重要物資と位置付け、国内の蓄電池サプライチェーンの拡充および産業競争力の向上に向けた取り組みを進めている。こうしたなか、両社は同協業を通じ、車載用円筒形リチウムイオン電池の国内製造基盤の拡充ならびに競争力強化に向け、国内の車載用円筒形リチウムイオン電池のサプライチェーン強靭化を積極的に進めてきている。なお、同協業に関わる電池の生産増強および技術開発に関しては、経済産業省より9月6日付で「蓄電池に係る安定供給確保計画」に認定されたとしている。

※認定された「蓄電池に係る供給確保計画」の概要
生産品目:車載用円筒形リチウムイオン電池
生産能力:16GWh/年(2030年末時点)
投資金額:約4,630億円(総額)
助成金額:約1,564億円(最大)
取組の種類:生産基盤の整備、生産技術の導入・開発・改良

■(株)デンソー<9月9日>
愛知惟謙西尾市の善明製作所敷地を拡張し、新工場建設へ/2027年1月竣工予定、デジタル化による24時間無人稼働の次世代工場めざす


 (株)デンソーは、愛知県西尾市にある善明製作所の敷地を拡張し、新たな工場を建設する。2025年度上期に着工し、2027年1月に竣工、2028年度上期から生産を開始する予定で、工場建屋の総投資額は約690億円となる計画だ。
 同社は、クルマで培った技術をコアに、「環境」と「安心」分野における提供価値を拡大するとともに、「自動車業界のTier1」から「モビリティ社会のTier1」へと進化するために、「モビリティの進化」「新価値創造」「基盤技術の強化」という3つの事業施策を進めている。
 基盤技術の強化の一つであるソフトウェアは、電動化製品や高度運転支援システム(ADAS)製品などを制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれており、重要な役割を担っている。今後、SDV(Software Defined Vehicle)や電動化などの進展により、クルマの各機能を横断的に制御する大規模統合ECUが必要とされており、新工場において主に大規模統合ECUを生産することで、今後の市場拡大や顧客ニーズにタイムリーに対応可能な生産体制を構築する。
 新工場は、同社の次世代工場のコンセプトを、工場の構想段階から織り込んだ初めての工場。日本の労働力人口の減少や気候変動が激化するなか、魅力ある製品を安定的に供給し続けるため、デジタルインフラと自動化技術の導入により無人稼働を実現し、工場従業員には人にしかできない創造性の高い仕事に従事する働き方を提案する。さらに、太陽光パネルによる自家発電や水素などを活用し、環境負荷の低いカーボンニュートラルな工場をめざすとしている。

〇次世代工場の特長
①フレキシブル生産システム

・製品を構成する部品やそれらの材料を標準化。設備組み換えが容易な生産ラインと組み合わせ、1つのラインで多品種の生産を実現し、製品の種類や量の変動にスピーディーかつ柔軟に対応する。
・生産設備を構成する部品やユニットを標準化。さらに、加工プログラムにおいても標準化を進め、ソフトウェアの互換性も高めることで、設備の新設や組み換えといった生産準備にかかる時間を大幅に短縮する。
② 24時間無人で稼働
・工場内に設置したカメラやセンサーで設備やモノの流れを常時監視。設備停止につながる予兆を検知した場合は、遠隔にて状況を判断し、設備の停止前に対応することで、生産ラインの24時間稼働をめざす。
・生産ラインだけでなく、材料や部品などの荷卸から工場内での搬送、材料の補給・投入、製品出荷のための梱包までを自動化することで無人化をめざす。
③デジタルを駆使した働き方へのシフト
・デジタルツイン技術で仮想空間に工場を再現し、設備製作前に設備の動作をシミュレーションすることで事前検証を行い、効率的でムダのない生産システム構築に貢献する。
・これまでのモノづくりを通じて蓄積してきた現場のノウハウを形式知化し、誰もが使えるようにデータベース化。そのデータベースを活用し、より高いレベルの自動化を推進することで、スピーディーに改善サイクルを回し、モノづくりの進化を促進する。

※新工場の概要
竣工:2027年1月予定
生産品目:電動化およびADAS制御用ECUの製造
敷地面積:約51万㎡
工場面積:約5万6,000㎡
<善明製作所の概要(2024年3月時点)>
所在地:愛知県西尾市善明町一本松100
操業開始:1998年9月
従業員数:1,309人
事業内容: 電子制御式ディーゼル・ガソリン燃料噴射装置の製造
敷地面積:約32万㎡

■フクシマガリレイ(株)<9月11日>
岡山工場にトラックバース・平面倉庫・立体倉庫を有する新配送センターを建設/現配送センターの1.5倍の製品収容能力と2倍以上の入出庫能力とする計画、2025年4月に稼働予定


 フクシマガリレイ(株)は、業務用冷蔵庫・製氷機を中心に製造する岡山工場(岡山県勝田郡)にトラックバース・平面倉庫・立体倉庫を有する新たな配送センターを建設し、2025年4月に稼働させる予定だと発表した。
 同社では、近年の物流を取巻く環境変化に対応し、今後の成長を中長期で支えるための収益基盤の強化を一層推し進めるため、新たな情報システムの仕組みを構築するとともに、今後の岡山工場の生産体制に対応する物流体制を構築する必要があるとの判断から新配送センターの建設を決めた。岡山工場は1984年に設立され、以来40年にわたり、メインの業務用冷蔵庫や製氷機などの厨房関連機器と医療理化学機器を生産してきた。今回、岡山第二工場に隣接する勝田郡勝央町内に建設する新配送センターでは、同社製品の保管・出荷関連業務を担う。
新配送センターでは、現配送センターの1.5倍にあたる6,000台以上へ製品収容能力を高め、従来2基であったクレーンを4基設置とし、入出庫能力を2倍以上に高める。より効率的な自動倉庫を採用し、安全で質の高い保管・出荷環境を実現することで、多様な顧客ニーズに対応していく考えだ。
 同社は、2023年度から2025年度の3年間で約208億円の成長投資を予定しており、今回の配送センター建設はその一環。今後も「食といのちの未来を拓く」との同社事業目的の実現に向け、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上に取り組むとしている。

※「岡山配送センター」建設計画の概要
所在地:岡山県勝田郡勝央町
敷地面積:約1万7,000 ㎡
投資額(見込み):約30億円
着工時期:2024年8月
竣工予定時期:2025年4月

※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
 注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。

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