第15回 荷主物流部が今年やるべきこと
船井総研ロジ株式会社
取締役 常務執行役員
赤峰 誠司
■CLO(物流最高責任者)の求められる役割とは
国土交通省から交付されている「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」の中へ、“物流管理統括者の選定”とう項目が明記されています。米国ではよく見られるポスト“CLO(物流最高責任者)”と同等のポジションであると推測します。
船井総研ロジが想定するCLOの役割とは以下の7つです。
1.物流およびサプライチェーンに関する戦略的計画の策定
2.組織のビジョンや目標を策定する
3.生産から、調達、在庫管理、最終的な製品の配送にいたるサプライチェーン全体を最適化し、効率性を向上させる
4.サステナブルな商品供給体制の構築と維持
5.サプライチェーン全域におけるESG・物流GX推進
6.サプライチェーン全域におけるコンプライアンス遵守体制の構築とその維持
7.サプライチェーン全域におけるDX推進
日系企業の場合、物流部門と調達購買部門は別々の組織形態であることが多く、サプライチェーン全域を網羅的・統括的に管理できない構造が課題となっています。また、海外の生産拠点における物流は、ほぼ現地法人任せとなり、最適か否かの判断が出来ない企業は少なくありません。最近弊社へ寄せられる相談事項として、海外現地法人の物流ネットワークとコストの可視化が多くなってきました。
CLOとは、まさにグローバルと国内全ての物流を統括管理し、最適化する責任者となります。今後はサステナブル物流体制の構築とESG実践がCLOの手腕に期待されます。
■物流部門長が果たすべき令和のロジスティック・マネジメント
一方で、国内の製品物流を管理しているのが一般的な物流部の役割です。
2024年は、国内物流において“物流コンプライアンス”が大命題となります。ドライバーの残業規制を機に、一気に法令遵守の意識が高まります。
物流コンプライアンスの主な管理項目は、①過積載②ドライバーの労働時間③ドライバーの付帯作業④積み地や降ろし地での待機時間⑤偽装請負⑥下請法⑦物流特殊指定などがあります。
物流部門の主な役割として、コストや品質管理は至極当たり前。今後さらに強化する管理面は物流コンプライアンス・物流BCPに加えて“物流ESG”と”物流GX”となります。
2024年問題の対策が解決済の荷主は、CO2削減の計画と具現化です。まずは、自社の物流オペレーションにおいて排出しているCO2を可視化する必要があります。
詳しくはこちらをご参照ください。
➔ https://www.f-logi.com/ninushi/service/esg-logi-support/
そして新たに加わった、“物流革新緊急パッケージ”の対応です。こちらは、1.物流の効率化2.荷主・消費者の行動変容3.商慣行の見直しと3つの大項目があります。物流部門長として、この革新パッケージは確実な対応が求められます。
こちらは、続編にて詳細をお伝えしたいと思います。