ついに施行された取適法!荷主が今すぐ取らなければならないアクションとは?㉖サプライチェーン全体最適化を図るためのエッセンス

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株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング
サプライチェーン支援部 アソシエイト
下花慶志


旧年2025年は物流業界改変の大きな要素となる物流効率化法が施行され、荷主企業に対し物流問題の改善に向けた努力義務が求められました。

特に年間取扱物量が9万トンを超える特定荷主に該当する企業は、前述した努力義務に加えて様々な義務が発生するようになるということで、取り扱い物量の算定や法的義務への対応準備などで忙しい一年間であったのではないでしょうか。

そんな2025年が過ぎ、2026年の注目トピックとして外せないのが取適法(中小受託適正化法)です。本法は年始早々1月より施行され、物流効率化法は義務対象が限定的である一方、この取適法においては一部資本金規模、従業員数の上限はあるものの、基本的にほとんどの荷主企業が規制対象となり得ます。今回はこの取適法施行に伴い、荷主企業はどのような取り組みが必要なのか本稿で解説します。

取適法は下請法(下請代金支払遅延等防止法)を改正し名称及び条文が追加・変更された法律となっており、正式名称は中小受託取引適正化法です。従来の下請法との大きな違いは、取引対象に「特定運送委託」が追加されたことです。これまで製造委託のみ対象であったものが、荷主と運送事業者間の取引においても遵守する必要があります。本法で定義される義務及び禁止行為のうち、荷主と運送事業者間に関わる項目を以下に纏めました。

〇義務内容発注内容等を明示する義務
・書類等を作成・保存する義務
・支払期日を定める義務
・遅延利息を支払う義務

・〇禁止行為の一部と違反行為例

禁止行為(一部抜粋)違反行為例(荷主➡運送事業者)
買いたたき従来の運送単価から一定率で単価を一方的に引き下げる
不当な経済上の利益の 提供要請運送事業者に無償での付帯作業を強要する
不当な給付内容の変更、やり直し運送事業者は指定時刻に到着したが、荷主は貨物受け渡しの準備を終わらせていなかった。そのため荷待ちが発生したが、荷主は荷待ち時間分の費用を負担しなかった
協議に応じない一方的な代金決定運送事業者が正当な理由で値上げ要請をしたにもかかわらず、回答を無視または引き延ばすなど協議に応じなかった


上記内容を踏まえると、荷主企業は運送事業者との正当かつ平等な取引が求められることがわかります。政府としては取適法施行によって荷主や元請など委託事業者による不当な取引を取り締まることで、健全な業界へと変革させる狙いがあると考えられます。荷主企業は本法が施行されたことにより、運送事業者との契約内容や現場の実態を見直す必要があります。

項目具体的なアクション
対象確認自社が委託している運送業務を洗い出し、「特定運送委託」として法の対象になるか確認する。
書面整備発注書・契約書のフォーマットを見直し、法定記載事項を満たす形に修正する。
経理確認支払サイトが「役務提供後60日以内」になっているか確認し、超えている場合は短縮する。
現場調査現場で前述した違反行為が行われていないか定期的な担当者ヒアリングやKPI指標を設けて管理する。

上記アクションはあくまでも一例にすぎませんが、リスク回避のために法内容をしっかりと理解し、早期対応することが重要です。実際に弊社取引先である荷主企業様も下記のように取り組みを進められています。

〇電子機器メーカー
・新たに運送事業者と直契約を始めるにあたり、取適法に準じた内容での契約を進めた
・全国の現場で取適法抵触リスクを避けるために、社員向けに説明会を行うなど啓蒙活動を強化した

〇飲食小売
・契約内容、支払いサイトを確認し、取適法に準じた形で内容を変更した
・当初物流効率化法対応のため予定していた現場担当者ヒアリング及び視察にて、取適法においても違反行為に該当することが起こっていないか確認を行った

上記のように、多くの企業はまず契約内容の見直しや現場における問題の洗い出しを行い、各種改善に向けて取り組みを進めていることがわかります。

2026年は取適法の他にも、物流効率化法における特定荷主の指定や、それに伴う物流統括管理者の選任、中長期計画作成・提出が開始し、加えて2027年10月に控える定期報告の準備と慌ただしい一年になるかと思います。取適法、物流効率化法共に物流業界における荷主企業への法規制となりますので、荷主企業からある意味トップダウン的な形での業界変革が予想されます。

今後本コラムにて、法規制の影響による物流業界の変化についても皆さまへお伝えしていければと思います。

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著者:株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング
サプライチェーン支援部 アソシエイト
  下花 慶志 氏
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