船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部 チームリーダー
井上 真希
1.3省合同会議とは
3省(国土交通省・経済産業省・農林水産省)の審議会合会議が2024年6月28日に開催されました。改正物流効率化法(5月15日公布)(以下、改正法)について荷主企業及び物流事業者に対する規制的措置の施行に向けて検討するもので、荷主企業の取り組み状況のスコア化や特定荷主・物流事業者による物流改善の実施状況をランク分けするなどの案が提案されました。判断基準はドライバーの拘束時間に関わる要素の改善や物流効率向上などの観点から、荷主企業、連鎖化事業者、トラック運送事業者、倉庫等関連事業者で区分されています。2024年8月に骨子案を示し、10~11月頃には基本方針や判断基準を定めるとされています。来年1月には政省令を公布し、4月以降、規制的措置を順次施行するといった流れとなります。
2.荷主企業及び物流事業者のスコア化(市場評価)とは?
下図は判断基準の一例となります。同会議では評価対象別・項目別にスコア化を行い、スコアの大小に関わらず企業名を公表する案が提示されました。しかし、全ての荷主企業を網羅的に調査することは困難である為、物流事業者への回答に基づいて評価を実施するとしています。その際、優良企業は社名公表、停滞している企業は注意喚起や立ち入り調査を行うなど企業のランクに応じた対応を行うとされています。
荷主企業・物流事業者は市場から評価されることからこれまで以上に企業価値向上を意識した取り組みの実行が求められています。
3.法改正による規制対象とは
積載率向上や荷待ち時間・荷役時間の短縮などの物流改善は、当然ながらすべての荷主企業・物流事業者によって取り組まなければなりませんが、改正法で定められている物流改善の「中長期計画」の作成や「定期報告」の義務付けは、一定規模以上の大手荷主と大手物流事業者を規制的措置の対象とされています。次回会議にて具体的な対象企業の検討が行われます。以下は現段階の腹案とする対象企業になります。
前述の通り、今後対象企業の指定基準が明確に定められます。対象企業は物流改善における実施が不十分な場合には国が勧告・命令を実施するとされています。企業の社会的評価を下げるリスクを避けるためには自社の物流実態を把握しておく必要があります。また、市場からの評価の仕組みや評価視点を正しく理解しておく必要があります。