(株)DATAFLUCTは、国分グループ本社(株)との連携のもと、2022年1月から国分グループの物流拠点に需要予測AIサービス「Perswell(パースウェル)」を導入し、酒類・食品の自動発注システムを稼働させており、その導入拠点数が200倉庫を突破した。予測精度は、導入前に比べて約10%改善しており、自動発注率の増加、欠品率の減少、余剰在庫の減少に貢献。2024年中には、導入可能な国分グループ全倉庫への拡大・導入完結をめざす。
〇導入の背景と目的
酒類食品卸売業大手の国分グループは、国内外の約1万の仕入先から約60万アイテムの商品を仕入れ、約3万5,000軒の得意先に商品を配送するため、全国約300拠点の物流センターを稼働させている。発注・在庫管理の現場では、多様なニーズに安定的、かつ低コストで応えるため、人手不足によるメーカーリードタイム延長・入荷頻度減などが求められるなかでも、欠品を防ぎ、サプライチェーン全体を意識し適正在庫をキープし続けることが必要。また、新商品、特売、定番商品など、色々な商品の発注・在庫管理への対応も欠かせない。
同グループでは、以前は過去の実績や経験値による需要予測をベースにこれら業務を行なっており、予測精度の問題で在庫過多や欠品による販売機会の損失やイレギュラーな調達業務が発生するという課題があり、その課題解決のため、定番商品の発注における自動発注システムの実現をめざしてきたという。本システムでは、得意先からの未来の受注をPerswellで予測し、同グループの基幹システムに情報を連携、予測結果に現在の在庫数や欠品防止などの調整を加えることで、高精度予測に基づく自動予測システムの実現にこぎ着けた。
〇導入効果
(1)新しい情報を最大限取り込んだ予測で、需要予測精度を約10%向上
一般的なAI活用では、学習済みのモデルでしばらく予測を続け、一定期間が経過したら再学習する形がとられているが、酒類食品卸売業ではさまざまな要因で1日ごとに状況が大きく変わる。今回のPerswellの活用では、下記の工夫(箇条書き部分)で新しい情報をデイリーで最大限取り込むことで、需要予測精度を導入前よりも約10%向上したとしている。また、国分グループ本社の社内データだけでなく、様々な種類のデータを収集・統合して外部システムへの連携を簡便化するため、同社のデータプラットフォーム「AirLake」も活用したという。
・需要動向に影響を与える適切な外部データを活用
・汎用的な1つのモデルで全商品を予測するのではなく、より細かい粒度でモデルを構築
・変動を適宜取り入れて予測を行うために、高頻度で自動再学習を実施
(2)予測精度の向上による業務変革
精度の高い需要予測結果が得られるようになったため、自動発注できる商品の増加、欠品率の減少、余剰在庫の減少が進展している。発注現場からは「確認などの作業時間が大幅に減り、より重要な業務にかける時間を増やせた」「自動発注が中心になると、経験の少ない若手担当者でも業務品質が高いレベルで安定している」との声が得られたという。
(3)成果を受けて導入拠点数・対応商品を拡大
導入拠点は200倉庫を突破し、チルド、冷凍、アイス、加工食品、酒類と多岐に渡るカテゴリーの商品に対応している。
〇今後の展開
両社は今後、2024年中に導入可能な全倉庫への拡大・導入完結をめざす。また、定番商品の需要予測で得られた知見を活用し、季節商品や新商品への応用もめざす意向だ。