オーシャン ネットワーク エクスプレス(ONE)と、(株)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、NAX JAPAN(株)は、二温度帯対応CA(Controlled Atmosphere)コンテナを利用した初の海上トライアル輸送を共同で開始した。
同コンテナは、1本で2つの異なる温度帯での貨物輸送に加え、コンテナ庫室内の空気組成変更により野菜や果物などの長期にわたる鮮度保持を可能とするCA機能を備えている。ONEによれば、CA機能を備えた二温度帯対応コンテナの海上輸送利用は今回が世界で初めて。具体的には、PPIHが展開する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の海外店舗向けに、日本から輸送する複数種類の果物をはじめとした生鮮食品の鮮度保持に利用する。これにより少量多品種貨物のより効率的な輸送やコスト削減を図れるほか、CO2排出量の削減、在庫リスク低減によるフードロス削減などの効果が見込まれている。
同コンテナは、内部を2温度帯に分けるため、庫内中央部に開閉可能な間仕切りを装備している。リーファーユニット(冷凍機)に近い側の庫内は、通常のリーファーコンテナと同様、-30℃~+30℃のレンジで冷凍冷蔵もしくは定温輸送に対応可能。もう一方の庫内は、天井部分に取り付けられたサーマルファンで天井伝いに冷気を送り込み、-5℃~+30℃の温度帯に調整することができる。中央部の間仕切りは前後に動かせるため、必要に応じて庫室の広さの調整が可能。不要時には天井部に格納し、通常のリーファーコンテナとして利用することもできる。
PPIHは現在、アジア6つの国と地域で「DON DON DONKI」など計43店舗(2023年12月末現在)を運営。日本産品を中心に提供するジャパンブランド・スペシャリティストアとして展開している。これら店舗では日本の野菜や果物などの生鮮食品の人気が高いが、海上輸送期間中の鮮度保持が課題だった。また、タイやマレーシアなどといった店舗数の少ない国向けの輸送は貨物量が少なく、コンテナ積載効率の改善や輸送コストの低減への取組も必然となっていた。同コンテナの導入でこれら課題を一挙に解消し、サービスレベル向上と事業体質強化を達成することが期待されている。この同コンテナを利用しての生鮮食品輸出については、NAX JAPANから物流パートナーとしての協力を得て、万全の体制を整えた。
なお、同コンテナの製造および試験輸送に当たっては、農林水産省が実施する農水水産物・食品輸出促進緊急対策事業から輸出物流構築緊急対策事業(令和4年度補正)の支援を受けたとしている。