<2025年以降に建設・竣工・稼働する物流施設ならびに注目工場の投資情報>
■NIPPON EXPRESSホールディングス(株)<6月9日>
NXベトナム(有)がベトナム北部のハイフォン市で「ディンブー・ロジスティクスセンター(第2期)」開所式を実施/医療・電子機器対応の高機能物流拠点が完成、温湿度管理のために定温保管室と大型空調設備を導入
NIPPON EXPRESSホールディングス(株)は、グループ会社のNXベトナム(有)が5月20日にベトナム北部のハイフォン市で「ディンブー・ロジスティクスセンター(第2期)」の開所式を行ったと発表した。
ハイフォン市はベトナム北部の重要な港湾都市。国際深水港であるハイフォン港は、世界各地への物流アクセスを可能にする国際的な拠点で、ベトナム北部の玄関口としての役割を果たしている。周辺には多くの工業団地が集積しており、日系企業をはじめとする外資系製造業や地元企業が進出する重要な産業地域だ。近年は、グローバルな事業環境の変化に伴い、生産拠点の多様化や移管を検討する企業が増え、ハイフォン市はその受け皿としても注目を集めている。
ディンブー・ロジスティクスセンターは、2015年に第1期センターが開設されており、今回は、第2期センターが稼働を開始した。第2期センターでは、温湿度管理のために定温保管室と大型空調設備を導入しており、湿度を常に70%以下に保つことで、医療機器や電子機器などの高付加価値商品の保管に最適な環境を提供する。また、作業効率の向上を目的に、荷捌きエリアとドックヤードには無柱の大屋根を採用しており、雨天時でも効率的に作業を行うことができる。
※「ディンブー・ロジスティクスセンター」の施設概要
所在地:Land plot CN5.6B Dinh Vu Industrial zone, Dong Hai 2 ward, Hai An district, Hai Phong city, Vietnam
<第1期:2015年2月稼働>
敷地面積:5万5,300 ㎡
構造:倉庫 S造平屋建て、事務所 RC造3階建て
倉庫面積:1万4,963 ㎡
主要設備:保税倉庫、コンテナフレートステーション、一般倉庫、定温・低湿空調、エアカーテン付きコンテナドック(14基)
<第2期:2025年5月稼働>
敷地面積:2万988 ㎡
構造:RC造(一部S造)、地上1階建て(一部メザニン)
倉庫面積:8,550 ㎡
主要設備:保税倉庫、コンテナフレートステーション、定温・低湿空調室、庫内全域低湿度空調、エアカーテン付きコンテナドック(7基)
■NIPPON EXPRESSホールディングス(株)<6月10日>
NXマレーシア(株)がペナン州バトゥ・カワン工業団地近くに新倉庫「バトゥ・カワンロジスティクスセンター」を開設/約1万㎡の倉庫面積、半導体や医療機器関連などの物流需要増加に対応
NIPPON EXPRESSホールディングス(株)は、グループ会社のNXマレーシア(株)がペナン州のマレー半島側に位置するバトゥ・カワン工業団地近くに新倉庫「バトゥ・カワンロジスティクスセンター」を開設し、5月27日に竣工式を行ったと発表した。
ペナン州は、マレーシアにおいてクアラルンプール首都圏に次ぐ経済規模を誇り、「東洋のシリコンバレー」と呼ばれる半導体の一大拠点となっている。ペナン州政府は医療機器メーカーの誘致も積極的に行っており、旺盛な国内消費や輸出入により、半導体関連、医療機器関連を中心に物流需要が増加している。NXマレーシアの新倉庫開設は、これら製品関連の物流需要のさらなる拡大に対応するのが目的だ。
バトゥ・カワン工業団地は2011年に入居開始となった比較的新しい工業団地。総面積約2,860haの敷地に、半導体、医療機器、電機・電子産業など日系企業を含む外資企業が約120社入居している。「ペナン空港」から約25km、首都クアラルンプールから約300kmに位置し、ペナン第二大橋や、マレー半島を南北に繋ぐ高速道路にも近いなど、立地条件に優れる。
新倉庫は倉庫面積9,204㎡で、全面空調を導入し、天井高12mを確保している。顧客の多様なニーズに応え、高付加価値サービスの提供が可能な最新鋭の倉庫だ。高床バース、ローディングドック、電動ドックレベラーを備え、効率的な荷役作業が行える。24時間の有人警備やCCTVも完備しており、高度なセキュリティ体制が構築されている。リパッキングやキッティング、ラベリングなどの付帯作業にも対応可能で、多様な産業の顧客に最適な物流オペレーションを提供することができる。
※「バトゥ・カワンロジスティクスセンター」の施設概要
所在地:Lot 1594&1595, Lorong Seruling 1, Kawasan Perindustiran Valdor, Sebarang Perai Selatan, Pulau Pinang
倉庫面積:9,204㎡
主要設備・特徴:天井高12m、倉庫床荷重4,000㎏/㎡、高床バース/ローディングドック8基、有人警備24時間・CCTV完備、全面空調、保税倉庫
■日鉄興和不動産(株)<6月10日>
米国ジョージア州ヴュアフォードで海外第2弾となる物流施設開発事業に参入/Trammell Crow Company社とシービーアールイー(株)が推進する大規模物流施設開発、阪急阪神不動産(株)、京阪神ビルディング(株)とともに参画
日鉄興和不動産(株)は、米国デベロッパーのTrammell Crow Company社とシービーアールイー(株)が推進する、米国ジョージア州アトランタ・ビュフォードでの物流施設開発事業に、阪急阪神不動産(株)、京阪神ビルディング(株)とともに参画したと発表したと発表した。
日鉄興和不動産は、「LOGIFRONT(ロジフロント)」を旗艦ブランドとして、国内で18案件の物流施設の開発・運営を手掛けてきた。2024年11月に同社として海外初の物流施設開発に着手しており、今回が海外での物流施設開発の第2弾になるとしている。
ジョージア州アトランタ都市圏は人口約600万人(全米6位)と米国南東部最大の経済・物流中心地。旅客機の発着回数世界1位を誇る「ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港」をはじめ、鉄道や道路といった主要交通インフラの集積地として、国内4位の市場規模を誇る物流ハブとなっている。本計画地は、重要な交通インフラである州間高速道路85号/985号に近接しており、都市部への配送や国内の長距離輸送に伴う物流施設の需要が見込まれるエリアだという。
※米国ジョージア州アトランタ・ビュフォードでの物流施設開発事業の概要
所在地:3228 Whidby Road, Buford, GA 30518
敷地面積: 約23万3,500㎡(約7万600坪)
延床面積: 約6万3,800㎡(約1万9,300坪)
構造・階数: 鉄骨造1階
工事期間:2025年5月~2026年秋(予定)
■日本GLP(株)<6月10日>
大阪府大阪市で保管型全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設「GLP 南港Ⅱ」を着工/湾岸エリアの物流プライム立地、快適な就労環境の整備も進める
日本GLP(株)は、大阪府大阪市において延床面積約2万1,000㎡の全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設「GLP 南港Ⅱ」を着工し、起工式を行ったと発表した。同施設は、収容能力約2.5万tの保管型施設として2026年12月に竣工する予定。
同施設が位置する南港エリアは、冷凍・冷蔵倉庫の集積地であるほか、統合型リゾートの誘致や研究開発・ビジネス創造・にぎわい創出など、国際的な交易・交流を促進するビジネス交流拠点の形成を目指す大阪湾岸部に近接している。同施設は、主要高速道路や幹線道路にも至近で、大阪都市圏のほか、兵庫、京都、奈良をはじめとした関西エリアへの配送にも有利な環境にある。東南アジア・中国航路が充実する「大阪湾岸コンテナターミナル」へのアクセスに優れ、生鮮・冷凍品の輸出入に不可欠な動物検疫の検査も庫内で受けられることから、輸入・通関・検疫・流通加工・配送といった一連の業務を一つの施設で完結することができる希少な冷凍・冷蔵物流施設だ。
同施設は地上5階建てで、最大2テナントが入居可能な全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設。2階から4階の冷凍庫エリアは有効天井高を6.0m確保することで、パレット積載率向上による保管量増加にも対応できる。床荷重は2.0t/㎡とし、保管効率を向上させる移動ラックの設置にも対応が可能で、カスタマー企業の効率的な荷物の保管を実現する。施設内ワーカーの身体的な負荷軽減するため、2階から4階の各階に採暖室を設置するほか、リフレッシュスペースも完備し、働きやすい就労環境を整えるとしている。
冷凍食品消費量の市場は、2014年から2023年にかけて年平均成長率2.6%に達し、市場規模は27.6%増加している。特にコロナ禍以降、家庭用冷凍食品の国内生産金額の伸びは顕著で、同期間で43.6%増加。年平均成長率は4.1%を記録するなど、冷凍食品業界は堅調に拡大しており、今後も安定した成長が見込まれる。日本GLPは、2017年から冷凍・冷蔵の専門チームを立ち上げ、冷凍・冷蔵分野における知見と豊富な実績を蓄積してきた。現在までに33物件の冷凍・冷蔵物流施設(うち3温度帯:約63万㎡、冷凍・冷蔵:約20万㎡)を手掛け、そのうちの6物件は、日本GLPが冷凍・冷蔵設備の設置を負担している。
2025年2月に満床竣工した国内最大級の賃貸型全館冷凍冷蔵・全館可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設「GLP 神戸住吉浜」では、入居企業の事業拡大を支援する「GLPコンシェルジュ」サービスを活用した取り組みを推進。2025年3月には、日本GLPとテナント企業が共同で同施設の内覧会を開催し、約80社、延べ約200名の来場を実現した。内覧会を通じて新たに多くの荷主企業との連携が生まれており、テナント企業の稼働率向上にも寄与したという。
日本GLPは、今後も施設開発に止まらず、テナント企業との密な連携を強化し、持続可能で効率的な物流ネットワークの構築を推進する。また、GLP 南港ⅡにおいてもGLPコンシェルジュを通じて、価値あるサービスの提供を続ける方針だ。
○同施設の立地
・ 阪神高速4号湾岸線「南港北IC」から約4.9kmに立地し、大阪都市圏へ約30分でアクセスが可能な好立地。また、阪神高速4号湾岸線・阪神高速5号湾岸線・阪神高速16号大阪港線「天保山JCT」から約4.7km、阪神高速3号神戸線「阿波座JCT」から約12kmと主要高速4路線がアクセス可能な距離にあり、兵庫、京都、奈良をはじめとした関西エリアへの配送に有利な物流プライム立地。
・ 南港ポートタウン線(ニュートラム)「トレードセンター前駅」から約1.1km(徒歩約13分)と徒歩通勤が可能で、島内には住宅エリアもあることから、雇用の確保にも適する。
○同施設の特長
・ 地上5階建てで最大2テナントが入居可能な全館冷凍・冷蔵マルチテナント型物流施設。
・ 2階から4階の冷凍庫エリアは有効天井高を6.0m確保し、パレット積載率向上による保管量増加にも対応できる。床荷重は2.0t/㎡とし、保管効率を向上させる移動ラックの設置にも対応が可能。さらに40ftコンテナが接車できる平面計画を採用することで、高い物流効率を実現。
・ 1階荷捌きエリアには断熱材を標準装備し、将来的な冷凍・冷蔵設備の後付けにも対応可能な設計。1階低温庫は-25℃の冷蔵庫を増設できる床防熱対応とし、冷却設備スペースや将来用除湿器スペース等も確保する。
・ 移動ラックの後付けを見据えた電源装置への接続ルートを確保することで、カスタマー企業のスムーズな物流オペレーションをサポート。
・ 施設内ワーカーの身体的な負荷を軽減するため、2階から4階の各階に採暖室を設置。
・ 利用者の快適性を考慮し、グリーンや木材を取り入れたインテリアデザインを採用。5階にはリフレッシュスペースを設け、木調・暖色を基調としたリラックスできる空間を提供するほか、海側窓からは野鳥園の緑地を眺望可能な設計となっている。
○同施設のサステナビリティへの取り組み
・ 災害への対応:キュービクルや冷却設備を高潮の際に想定される高さ以上に設置し、乗用EV・垂直搬送機の巻き上げ機や制御盤を上階に配置することで浸水や液状化対策を講じる。非常用発電機も設置し、高い事業継続性を確保。
・ 再生可能エネルギーの活用:高効率型自然冷媒冷凍機の採用したほか、太陽光発電設備の設置や全館LED導入なども行う予定。エネルギー消費を抑制しつつ、持続可能な施設運営を企図。
・ 環境認証の取得:CASBEE認証(Aランク以上)を取得予定。
※「GLP 南港Ⅱ」の施設概要
所在地:大阪府大阪市住之江区南港北3-8-2
敷地面積:約7,000㎡
延床面積:約2万1,000㎡
収容能力:約2万5,000t
構造:地上5階建て(1~4階:倉庫、5階:事務所)、耐震S造
着工:2025年6月
竣工:2026年12月(予定)
認証取得:CASBEE認証(Aランク以上)(予定)
■プロロジス<6月11日>
運営中の賃貸用物流施設「プロロジスパーク千葉1」敷地内に系統用蓄電池を設置/国内不動産事業者として初、電力市場参入で再エネ拡大推進を支える
プロロジスは、千葉市で運営中の賃貸用物流施設「プロロジスパーク千葉1」の敷地内に系統用蓄電池(発電所・送電線など電力系統に直接接続する蓄電池)の設置を計画していると発表した。設置工事は12月に開始し、工事完了後2026年4月から各電力市場(容量市場、卸電力市場、需給調整市場)に参入する予定。物流施設への系統用蓄電池の設置は、国内不動産事業者として初めての取り組みだとしている。
同施設に設置される系統用蓄電池の出力は合計2MWで、蓄電容量は6MWhに達する。設置場所は、敷地内駐車場の未利用スペース23台相当分を活用。2026年4月の運用開始後は、電力市場より電力を購入して充電し、各市場の状況に応じて電力を供出する予定だ。
電力市場の中でも特にターゲットになり得る需給調整市場は、電力の需給バランスをリアルタイムで調整するための取引市場。2021年に創設され、2024年4月から全面開場となっており、大規模停電などの原因となる需給バランスの不一致を回避し、電力の安定供給、価格高騰リスク低減などの電力システム全体の安定化に貢献するものと評価されている。
近年は、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及で発電量の変動幅が増し、需給調整の必要性が高まっている。しかし国内では、大型蓄電池の活用や需給調整市場への参入は発展途上で、エネルギー事業者を除く他業種による事例は少ないのが実情だ。参入遅滞要因としては、初期投資コストの高さ、運用開始までの手続きの煩雑さ、事業用地の確保後に運用開始までにかかる時間的制約などが挙げられる。需給調整市場も未成熟であり、長期的な市場動向予測の困難さ、価格変動リスクといった先行きの不透明性も懸念されている。
プロロジスは、社会的意義や将来需要の高さを考慮し、エネルギー事業室の過去の取り組みから得たノウハウと、遊休地の活用により、リスクを抑えたうえでの迅速な事業化が可能と判断。同事業への投資を決定し、今後、再エネの拡大推進と、電力システムの安定化を支えるとしている。
※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。