<2025年以降に建設・竣工・稼働する物流施設ならびに注目工場の投資情報>
■阪急阪神不動産(株)<2月20日>
シンガポールトゥアス地区で建設を進めていた物流倉庫「36Tuas Road」が竣工/Boustead Projects LimitedおよびMBK Real Estate Asia Pte. Ltd.との共同開発、BCAグリーンマーク2021でプラチナ認証と同国物流倉庫では初となる5つのバッジを取得
阪急阪神不動産(株)は、Boustead Projects Limitedおよび三井物産(株)100%連結子会社のMBK Real Estate Asia Pte. Ltd.とともにシンガポールトゥアス地区で開発を進めていた物流倉庫「36 Tuas Road」が2月11日に竣工したと発表した。
阪急阪神不動産は2017年、シンガポール西部のジャランブロー地区で物流倉庫「阪急阪神ロジスティクスセンター」を開業しており、新倉庫はそれに続く同国2番目の物件。断熱性能の高い外壁仕様をはじめ、高効率な換気システム・空調設備、太陽光発電システムなど採用・導入した環境配慮型物流倉庫となっている。BCAグリーンマーク2021で最高ランクとなるプラチナ認証に加え、同国物流倉庫では初となる5つのサステナビリティセクション全てでのバッジ取得を達成している。
同倉庫が所在するトゥアス地区は、世界最大級の港として開発が進められているトゥアス港や、官庁・企業・商業施設などが集中するCBD(Central Business District)へのアクセスが容易。シンガポールとマレーシアの連絡橋であるトゥアス・セカンド・リンクの近くに立地しており、製造・医薬品関連の企業が集積するなど、シンガポールの物流拠点として高い優位性を有している。
〇同施設の特徴
①環境に配慮した物流倉庫。BCA グリーンマーク2021 で最高ランクのプラチナ認証と5つ全てのサステナビリティセクションでバッジを取得。
②全フロアが定温倉庫(22~26℃)で、温度の影響を受けやすい消費財や製品の取り扱いが可能。
※「36 Tuas Road」の施設概要
敷地面積:約29,900㎡(約9,000坪)
建物構造:地上5階建て
賃貸面積:約5万6,700㎡(約1万7,200坪)
着工:2023年4月17日
竣工:2025年2月11日
■両備ホールディングス(株)<2月20日>
物流部門を担う両備トランスポートカンパニーが岡山県都窪郡早島町に新倉庫「両備ロジサポート岡山ベース」を開設/2月20日から営業を開始して西日本エリアの物流需要に対応、中西日本エリアの物流ハブとしての役割も見込む
両備ホールディングス(株)は、物流部門を担う両備トランスポートカンパニーが西日本地区のクロスポイントである岡山県都窪郡早島町に新倉庫「両備ロジサポート岡山ベース」を開設し、2月20日付で営業を開始したと発表した。
両備トランスポートカンパニーは西日本エリアの物流需要に応える重要な物流拠点として同倉庫を機能させることで、より効率的でスピーディな物流ネットワークの構築を目指す。
同倉庫は岡山自動車道・山陽自動車道・瀬戸中央自動車道といった主要高速道路が交差する「早島IC」に近接し、優れたアクセス環境を有する。両備トランスポートカンパニーは同倉庫に岡山・倉敷市市街への配送拠点としての機能を期待するほか、東西(福岡~関西)および南北(山陰~四国)を結ぶ中西日本エリアの物流ハブとしての役割を見込む。物流2024年問題への対策として中継輸送が可能な拠点の整備が重要視されるなか、早島町は中継拠点の目安である4時間圏内に京都府から山口県、あるいは四国方面をカバーできる立地であることから、中継拠点に最適なエリアとして物流事業者から注目されている。
両備トランスポートカンパニーは物流事業の強化に加え、より柔軟に対応できる倉庫事業の拡充とサービスの向上に取り組む。新倉庫は顧客ニーズに応じてレイアウトや自動化機器の導入など、柔軟にカスタマイズ設計できる。近隣には同社物流センターが6拠点あり、人財の相互補完による波動対応が可能。多様化する物流ニーズへの対応力をさらに高め、西日本エリアにおける物流の効率化と安定供給を支え、地域経済の持続的発展に貢献していく。
同社は新倉庫を主に西日本エリアの物流需要に応えるための中継拠点、および中四国エリアの物流ハブ機能として位置づける。飲料メーカーのハブ機能センターとしてのニーズを主体に、食品や精密機器など幅広い業種を対象とした拠点としての需要に応え、2026年度で売上高6億円を目指す。さらに両備グループ企業との連携でICTを駆使したシステム提供および自動化・省人化を取り入れた「見せる倉庫」の構築を推進していく考えだ。
〇同施設の特長
・地上3階建てのボックス型
・低床・高床バースを併設し、重量のある飲料をはじめ多様な荷物ニーズに対応
・各区画に荷物用エレベーターと垂直搬送機を設置し、効率的なオペレーションに寄与
・倉庫内の空調設備の設置や従業員用ラウンジの整備により、快適な就労環境を提供
・事務室、会議室、応接室区画を設置し、物流現場でのスムーズなビジネス進行をサポート
・内観デザインは、木目調素材をアクセントとして取り入れ、自然の温もりを感じさせる空間を提供
・災害への対応:BCP面では、地震の少ない地域性に加え、耐震構造を採用。また高台に位置しているため浸水等の水害リスクに強く、非常時にも安定した事業運営が可能。
・環境に配慮:倉庫の屋根には太陽光を設置し、自然エネルギーを有効活用
・環境認証の取得:CASBEE認証、BELS及びZEB Ready認証を取得予定
〇同施設により提供するサービスの内容
・倉庫業務(入出庫・保管・包装・荷役・流通加工・情報処理)
・商品管理・受注・発送・配送サービス他、物流に関わる業務全般に対応
・システムおよび自動化機器導入による先進的物流機能の提供
※「両備ロジサポート岡山ベース」の施設概要
所在地 :岡山県都窪郡早島町早島4651-3 (GLP早島Ⅲ)
敷地面積:約1万1,000㎡
延床面積:約1万8,000㎡
施設運営:両備ホールディングス(株) 両備トランスポートカンパニー
構造:地上3階建て・鉄骨耐火耐震構造
用途:倉庫業を含む倉庫(営業倉庫)
着工:2023年12月
竣工:2025年2月 1日
営業開始:2025年2月20日
■三菱地所(株)、農林中央金庫、JA三井リース建物(株)、東銀リース(株)<2月20日>
大阪市大正区で計画を推進してきたマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設「ロジクロス大阪大正Ⅱ」を着工/全区画温度可変式(-21℃〔増強区画-27℃〕~+5℃)で幅広いニーズに対応
三菱地所(株)、農林中央金庫、JA三井リース建物(株)、東銀リース(株)の4社は、大阪市大正区鶴町一丁目で推進してきた「(仮称)大阪市大正区鶴町冷凍冷蔵物流計画」について、プロジェクト名称を「ロジクロス大阪大正Ⅱ」とし、1月20日に建設に着手したと発表した。同施設は延床面積約4万5,430㎡・地上4階建て・全区画温度可変式のマルチテナント型冷凍冷蔵物流施設。竣工は2026年10月末となる予定だ。
冷凍冷蔵食品や医薬品等の低温度帯の保管ニーズが年々増加しているなか、既存倉庫の老朽化が進展しており、建て替えや拡充が求められている。従来の冷凍冷蔵物流施設は荷主企業による自社所有開発が主流。急激な建築費等の高騰、建て替え時の荷物の一時的な保管場所が確保できないこと等が要因で自社開発が困難な状況となっている。4社は今回、マルチテナント型冷凍冷蔵物流施設を供給することで、初期投資を抑えた迅速な拠点立ち上げや、既存施設建て替えまでの一時利用ニーズに対応する方針。また同施設を全区画温度可変式(-21℃〔増強区画-27℃〕~+5℃)とすることで、断続的に変化する物流網への柔軟かつスピーディな対応が可能になるとしている。
多くの物流施設開発・運営実績をもつ三菱地所と食農関連企業を中心としたステークホルダーの発展を多角的に支える農林中央金庫、冷凍冷蔵物流施設での実績を背景に不動産領域で高付加価値サービスを提供するJA三井リース建物、および東銀リースが協働し、物流業界の様々なニーズに対応し、社会課題の一つとなっている低温物流網整備の一角を担っていく考えだ。
〇同施設の特徴
①大阪港・関西消費地へ好アクセス。動物検疫所指定倉庫・保税倉庫としても利用可能な立地
建設予定地は工場や倉庫が集積する湾岸エリアのなかでも大阪都心(大阪駅)から10km圏内にある。大阪・神戸等の大消費地への配送利便性を有するほか、動物検疫検査場所および保税倉庫としての指定申請が可能な希少性の高い立地で、多様な物流機能の受け皿となる条件を備えている。「大阪駅」や「なんば駅」など複数益からのアクセスが可能な大阪シティバス「鶴町一丁目バス停」から徒歩5分圏内に位置し、通勤利便性も高いため雇用確保の面でも優位性がある。
②全区画温度可変式(-21℃〔増強区画-27℃〕~+5℃)を採用。柔軟かつ継続的な営業をサポート
同施設は全ての区画内温度を柔軟に設定できる可変式(-21℃~+5℃、一部増強区画は-27℃~+5℃)としており、幅広い業態・荷物のニーズに対応することができる。また、災害時24時間の施設稼働(事務所)を可能とする非常用発電設備を有し、電気設備等は地盤面から5m以上の高さに設置するなどの浸水対策を講じており、高い事業継続性を確保している。
③太陽光、自然冷媒などESG・環境に配慮。「ZEB」「CASBEE」最高ランクを取得
同施設の屋上に太陽光パネルを実装。発電した電力を自家消費するほか、自然冷媒、節水器具や断熱材にグリーン購入法適合品・エコマーク認定品を採用するなど、環境性能効率の向上と環境負荷低減にも寄与する施設とする。同施設はこれら取組により、建物のエネルギー性能の法事制度である「BELS」のなかでも最上位の環境性能となる「ZEB」の取得。「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)においても最上位のSランクの取得も予定している。
※「ロジクロス大阪大正Ⅱ」の計画概要
所在地:大阪市大正区鶴町1-1-17他
用途:マルチテナント型冷凍冷蔵物流施設(最大3テナント入居可能)
規模・構造:地上4階建て、ボックス型、鉄骨造、耐震構造
敷地面積:約2万1,660㎡(約6,552坪)
延床面積:約4万5,430㎡(約1万3,743坪)
着工:2025年1月20日
竣工:2026年10月末(予定)
■東京ロジファクトリー(株)<2月21日>
東京都羽村市に鉄骨造4階建ての物流施設「羽村物流センター」を開設/日用品やスポーツ用品を対象とした配送センター業務を中心に管理・運営を行う
東京ロジファクトリー(株)は東京都羽村市に「羽村物流センター」を開設した。
同施設は国道16号エリア、工業専用地域に位置し、羽村市のほか、周辺には立川市や昭島市、福生市、武蔵村山市、西多摩郡瑞穂町などの東京のベッドタウンが広がっており、労働力確保の面でも優位性がある。同施設は3層構造の倉庫で、延床面積は3,900坪。全天候型バースを採用したほか、柱スパンを11.8m×11.0mと広く設計しており、倉庫の2~3階には空調設備(28℃以下)も導入している。温度管理が必要な商品保管をはじめ、施設内ワーカーの労働環境整備にも配慮した。同施設では、日用品やスポーツ用品を対象とした配送センター業務を中心に管理・運営を行っていく。
同社は創業以来地域とともに発展してきた。東京都多摩エリアでは物流センターのドミナント戦略を中心に展開しており、近隣倉庫間での人材・配送面での連携により物流サービスの発展を目指すとしている。
※「東京ロジファクトリー(株) 羽村物流センター」の施設概要
所在地:東京都羽村市神明台4-8-16
用途地域:工業専用地域
敷地面積:6,932.37㎡(2,097坪)
延床面積:1万2,895.43㎡(約3,900坪)
構造:鉄骨造4階建て(倉庫3層)
設備:荷物用EV 2基、垂直搬送機 2基(パレ専用 1基、カゴパレ兼用 1基)、倉庫内空調設備(28℃以下)
取扱荷物:日用品、スポーツ用品
■エア・ウォーター(株)<2月26日>
グループのエア・ウォーター物流(株)が食品向け冷凍・冷蔵物流拠点「千葉低温センター」を開設、3月から稼働開始/ 低温物流ネットワークの拡充へ、冷凍自動倉庫導入などのDX推進で物流効率向上も図る
エア・ウォーター(株)は、グループのエア・ウォーター物流(株)が千葉県千葉市で建設を進めていた食品向け冷凍・冷蔵物流拠点が完成し、「千葉低温センター」として3月1日から稼働開始することを発表した。同施設は、同社グループとして関東では「厚木低温物流センター」(神奈川県厚木市)に続き2拠点目、全国で10拠点目の食品向け低温物流拠点になる。
同社グループの物流事業は高圧ガス輸送、一般貨物輸送、血液を運ぶ医療物流、フェリー航路を使ったシャーシ輸送、トラックボディなどの設計架装まで幅広く事業を展開している。なかでも食品メーカーや小売、外食、通販会社向けなどの低温食品物流事業は冷凍食品や加工食品ニーズの高まりを追い風に堅調に伸長しているという。
こうしたなか、エア・ウォーター物流が同施設開設に踏み切ったのは低温物流ネットワーク(コールドチェーン)の拡充を通じた事業拡大と同社グループ内の物流機能強化を図るのが目的。同社グループが千葉市内で運営する高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」とシリンダーガス充填拠点「東関東ガスセンター」の敷地内に併設する形で開設する運びとなった。
全国と首都圏をつなぐ低温物流ネットワークの役割は厚木低温物流センターが担ってきた。物流2024年問題などを背景に食品の長距離輸送が困難さを増すなか、千葉低温センターを新設して首都圏東部の低温物流機能強化を図る。北海道・東北各地で生産された食品やその原材料を集約し首都圏へ輸送するための拠点としての活用も見込む。同社グループ内のアグリ&フーズ(農業・食品関連)事業を中心に物流内製化を積極的に推進し、シナジー創出に努める。深刻化する人手不足を考慮し、冷凍自動倉庫での搬出入作業の自動化やデジタル機器導入による庫内作業の効率化などDXを通じて物流効率向上も図る。
同社グループはカーボンニュートラルの実現に向けて、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を減らす「責務」と、製品・事業を通じた社会のGHG排出削減への「貢献」の両面から取組を推進しており、2026年までに太陽光発電の導入設備容量10MWを目指す。千葉低温センターの屋根に第三者所有の太陽光パネルを設置し、同施設で使用する電力のグリーン化を進めGHG排出量削減にも努める。
※「エア・ウォーター物流(株) 千葉低温センター」の施設概要
所在地:千葉県千葉市稲毛区六方町210-6
建物:鉄骨造2階建て(冷凍自動倉庫、冷凍庫、冷蔵庫、事務所他)
敷地面積:9,959.06㎡
延床面積:7,376.41㎡(冷凍自動倉庫 1,675.55㎡、冷蔵庫 4,434.84㎡、事務所他 1,266.02㎡)
投資額:約42億円
稼働開始日: 2025年3月1日
□太陽光発電設備
設備所有者:(株)新出光
設備容量:347kW
CO2削減見込:約160t/年
■山九(株)<2月26日>
横浜市中区で建設を進めていた「横浜支店 横浜ロジスティクスセンター」が竣工/本牧ふ頭に位置する横浜港内で最大規模の物流施設、大型貨物船からの貨物搬入にも対応可能
山九(株)が横浜市中区で建設を進めていた「横浜支店 横浜ロジスティクスセンター」が竣工した。同施設は、都心部や羽田空港から至近の本牧ふ頭に位置する横浜港内で最大規模の物流施設で、日鉄エンジニアリング(株)が設計・施工を担当した。
同施設にはトラックバースに大型の庇が採用されており、雨天時でも支障のなく荷捌きが行える。荷物用エレベーターが1基、垂直搬送機が4基を設置されており、上下階の荷物搬送についても十分な能力を確保。岸壁と敷地の間に門扉を設置し、岸壁に隣接する立地特性を活かした、安全で効率的かつ低コストでの大型貨物船からの貨物搬入が可能だ。
建屋には地震エネルギー吸収能力の高い耐震部材「アンボンドブレース®」を採用しており、優れた耐震性能を有する物流施設となっている。環境面では全館LED照明や人感センサー、高効率空調機、日射遮蔽型の窓ガラスなどを採用し、一次エネルギー消費を実質ゼロとする最高ランクのZEB認証も取得している。
※「横浜支店 横浜ロジスティクスセンター」の施設概要
所在地:神奈川県横浜市中区本牧ふ頭
構造:鉄骨造地上4階建て
延床面積:2万921.00㎡
鉄骨重量:約1,900t
竣工:2025年1月31日
※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。