<2024年以降に建設・竣工・稼働する物流施設・工場の情報>
■(株)ビームス<9月12日>
同社最大の物流拠点「ビームス ウエアステーション」を拡張移転、9月下旬から全面稼働/世界初となるリニアモーター式ロボットや自律型ケースハンドリングロボットなども導入、人手不足に対応して自動化による省人化を進める
(株)ビームスは、同社最大の物流拠点「ビームス ウエアステーション」を、東京都江東区新砂から同区塩浜(深川地域)に拡張移転し、9月下旬から全面稼働させると発表した。
同施設は、物流機能における入出荷を行うほか、自社ECサイト用の撮影スタジオやカスタマーサービスデスクなどの機能を備えており、延床面積は移転前の2倍程度(約9,000坪)に達する。拡張移転に伴い、江東区南砂町のサテライト機能も同拠点内に集約するとしており、全面稼働予定日の9月25日以降、同社物流は、ビームス ウエアステーションが東日本エリアを、「ビームス 関西ロジスティクスセンター」(大阪府交野市)が西日本エリアを主にカバーする体制になるという。
ビームス ウエアステーションには、全面稼働に合わせて複数の先端自動化システムを新たに導入する。具体的には、世界初導入となるリニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」、自律型ケースハンドリングロボットシステム「HaiPick SYSTEM」などの稼働により、将来の国内労働市場を見据えた自動化による省人化を進める。
ビームスグループは近年、アパレル、雑貨、家具、アートなどを扱う国内外約170店のセレクトショップ運営のほか、オリジナル商品の海外向け卸事業、企業・自治体とのBtoB(企業間取引)を伴う協業など、その業容を戦略的に広げている。今回のビームス ウエアステーション拡張移転と先端自動化システムの導入は、これら事業について物流面から今後の事業継続を図るものだとしている。
CUEBUS(搬送タイプ)は、「タイル」と呼ばれるリニアモーター内臓のユニットを物流センター床面に置き、そのタイル上を移動する「トレイ」が商品を載せて搬送するもの。ビームスの新物流拠点では、CUEBUSを入荷工程に導入し、トレイを2枚同時に協調制御することで、これまで自動搬送が難しかった「Zラック」の搬送自動化が可能となったという。さらに、ロボットが搬送されるタイル上に自動検品ゲートを設置し、商品タグに取り付けられたRFIDタグを自動で読み取りすることで、検品を自動化し、作業効率向上を実現する。
HaiPick SYSTEMは、物流業務の一連の流れである商品の入庫・保管・出庫を自動化するもので、高さ約4.7mのラック、自律型ケースハンドリングロボット(ACR)、「HAI PORT Workstation」のモジュールで構成されている。エリア内には57台のACRが稼働し、1台で複数のコンテナの入庫、または出庫に対応することが可能。新物流拠点では、HaiPick SYSTEMの導入により天井高を有効活用することで、多品種少量商品を効率的に保管するほか、HAI PORT WorkstationまでACRが商品を搬送するGTP方式を採用し、さらに次工程で自動仕分け可能なソーターシステムにつなげることで、店舗および自社EC顧客の仕分けを同時に行うことができるとしている。
※「ビームス ウエアステーション」の施設概要
所在地:東京都江東区塩浜1-2-8 DPL江東深川
延床面積:約9,000坪
全面稼働予定日:2024年9月25日
主な機能:入出荷、撮影スタジオ、カスタマーサービスデスクなど
■丸全昭和運輸(株)<9月12日>
愛知県碧南市で「衣浦危険物倉庫」を着工/延床面積約1,587㎡の鉄構造平屋建て
丸全昭和運輸(株)は9月12日、愛知県碧南市で「衣浦危険物倉庫」の建設に着手した。7,461㎡の敷地に延床面積約1,587㎡の鉄構造平屋建ての倉庫を建設するもので、第4類1~4石油類に対応する施設とする計画だ。
※「衣浦危険物倉庫」の施設概要
所在地:愛知県碧南市須磨町1-19
構造:鉄構造平屋建て
敷地面積:7,461㎡(2,257坪)
延床面積:1,587.75㎡(480.29坪)
設備:第4類1~4石油類
■霞ヶ関キャピタル(株)<9月13日>
賃貸借型3温度帯倉庫「LOGI FLAG DRY&COLD 福岡古賀Ⅰ」のテナントが決定/(株)ファクラムの入居により満床に
霞ヶ関キャピタル(株)は、同社が開発用地のソーシングおよび企画立案を行い、アセットマネジメント業務を受託している福岡県古賀市の物流施設「LOGI FLAG DRY & COLD 福岡古賀I」への(株)ファクテムの入居が決定し、満床になったと発表した。
同施設は、ドライ・冷蔵・冷凍の 3 温度帯に対応したマルチテナント型物流施設。福岡市と北九州市を結ぶ要所に立地しており、九州自動車道「古賀IC」から約3km、「福岡 IC」から約 15kmの場所にあるため、物流施設としての交通利便性が高い。また、「福岡空港」と「博多港」まで 30 分圏内にあり、空路と海路双方のアクセスに優れることから、国外への貨物輸送にも適する。
同施設の1階は冷凍冷蔵区画で、環境に配慮した自然冷媒による冷凍冷蔵設備が設置されている。冷凍冷蔵区画は約 1,000 坪から賃貸可能で、最大 3 テナントの入居が可能。また、設定温度を変更できる機能を有しており、幅広い荷物や運用に対応することができる。2・3階はドライ区画で、荷物用エレベーター3基、垂直搬送機3基を実装し、倉庫内オペレーションの効率化が図れる。ドライ区画は約 2,000 坪から賃貸可能で、最大 3 テナントの入居が可能だ。
※「 LOGI FLAG DRY & COLD 福岡古賀Ⅰ 」の施設概要
所在地:福岡県古賀市玄望園14-1
延床面積:3万6,809.27㎡(1万1,134.80坪)
敷地面積:2万3,849.80㎡(7,214.56坪)
賃貸借契約開始:2024年9月17日(予定)
構造:鉄骨造・地上3階建て(耐火構造)
評価認証: CASBEE 建築評価認証 A ランク取得、 BELS 認証(ZEB Ready)取得
■(株)ツムラ<9月13日>
茨城県稲敷郡阿見町の「茨城工場」で新棟建設工事に着手/漢方薬の需要増加に伴う生産能力増強が目的、2つの新棟を増設
(株)ツムラは、医療用漢方製剤の国内需要拡大に対応し、生産能力増強と安定供給体制を確保するため、漢方製剤の中間製品であるエキス粉末を生産する「第4SD棟」に加え、原料生薬の受け入れと保管の機能を有する「第3生薬棟」を新設する。
両棟とも茨城県稲敷郡阿見町の「茨城工場」内に建設するもの。第4SD 棟では、自動化技術の導入による省人化や、設備能力向上による切替洗浄時間の短縮など、一層の生産性向上をめざす。一方、第3生薬棟ではラック式自動倉庫を導入し、入荷後の搬送を無人化することで、エキス粉末生産量の増産に対応する。また、建屋を耐震構造とし、自動倉庫を免震ラック仕様とすることで、 地震発生時の被害を最小限に止めるほか、早期の生産再開を可能するとしている。
※「第4SD棟」の施設概要
所在地:茨城県稲敷郡阿見町吉原 3586
機能:漢方製剤中間製品であるエキス粉末の生産
生産工程:切裁・秤量 ⇒ 調合 ⇒ 抽出分離 ⇒ 濃縮 ⇒ 乾燥
建設費用:約 300 億円
工期:2024 年 10 月 1 日~ 2027 年 3 月 31 日
建築面積:1,560.90 ㎡
延床面積:8,462.98 ㎡(地上7階建て)
※「第3生薬棟」の施設概要
所在地:茨城県稲敷郡阿見町吉原 3586
機能:原料生薬の受入れ、生薬試験サンプリング、保管
建設費用:約 80 億円
工期:2025 年 3 月 1 日~2027 年 3 月 31 日
建築面積:1,988.00 ㎡
延床面積:2,941.95㎡(地上2階建て)
■三菱地所(株)<9月18日>
日系総合デベロッパー初、インドでの物流施設/デリー首都圏の既存物流施設2物件に投資
三菱地所(株)は、アジア太平洋地域を基盤とした不動産投資会社Rava Partnersが出資するLogicap Management Pte. Ltd. (Logicap)と、インド・デリー首都圏の既存物流施設に投資したと発表した。投資対象は、デリー中心部から南西約30kmに位置するハリヤナ州グルグラム圏内の満室稼働中の大型物流施設「Khijuri」と「Farrukhnagar」の2物件。インドでの物流施設投資は、三菱地所および日系総合デベロッパーとして今回が初めて。
インドは、顕著な人口増加に伴い、2025年までに世界第4位の経済規模に成長するものとみられており、消費市場の伸びとともに物流需要が増加するなか、国内全土で高品質物流施設の供給がひっ迫している。投資対象の大型物流施設が立地するインド・デリー首都圏南西部は、製造業の集積地で、近年では情報技術等の新興産業クラスターとしても発展しており、交通インフラも整っている。
Logicapは、アジアのインフラ構築に注力した不動産投資会社Rava Partnersの出資企業。Rava Partnersは、物流施設、データセンター、ライフサイエンス・ヘルスケア関連施設、学生寮など多岐にわたる分野でポートフォリオを拡充している。一方、Logicapは、インド市場を主軸に物流施設事業を展開しており、同社が出資するインドの物流デベロッパーPragati Warehousing Private Limitedとの連携強化により、用地取得から開発、リーシング、運営にいたるまでの広範なサービスを提供している。
〇「Khijuri」と「Farrukhnagar」の特徴
①国内有数のグレード Aの大規模倉庫床
インドでは、近代的な賃貸需要に対応するグレードA物流施設の数が限られており、現状、日本国内の同グレードストック総量の約6%の規模に留まっているという。一方、大規模な消費市場を背景に、近年ではEC事業の拡大や3PLはじめとする物流プレイヤーの動きが活発化しており、さらなる物流ネットワークの拡大・効率化が期待されている。
②多角的産業が集積し、交通アクセスが整備された物流適地
両施設は、デリー(インド首都・NCT:面積1,483㎢・都市圏人口約 3,400万人)の南西約30kmに位置するデリー首都圏経済の新中心、ハリヤナ州グルグラム圏内に位置する。この地域は、ソフトウェアや情報技術、サービス業などの新しい産業が集積しているほか、郊外には自動車部品、電子機器、繊維、重機等の製造業が拠点を置いており、交通インフラの整備も進んでいる。日系自動車会社の大規模工場もあり、空港近郊には外資系企業が多く集まるオフィス街があるという。また、デリーを囲む環状線を起点として、他の主要都市へ続く複数の国道が接続されており、環状線まで近距離の立地する両施設は、デリーのほか、多方向へのアクセスが容易だ。
③環境認証
両施設とも米国・グリーンビルディング協会のLEED認証制度と、インドグリーンビルディング協会の環境認証制度でゴールド評価を取得しており、環境へ配慮した不動産として国内有数の評価を受けている。
※「Khijuri」の施設概要
所在地:インド・デリー首都圏 国道48号線沿い
敷地面積:約12ha
規模:地上1階建て(一部メゾネット階)・BOXタイプ 3棟構成
貸床面積:約6万8,000㎡
竣工:2021年6月
※「Farrukhnagar」の施設概要
所在地:インド・デリー首都圏 州道15号線沿い
敷地面積:約17ha
規模:地上1階建て(一部メゾネット階)・BOXタイプ 2棟構成
貸床面積:約11万1,000㎡
竣工:2022年6月
■鈴茂器工(株)<9月18日>
埼玉県鶴ヶ島市内で新工場建設へ/高水準で推移する製品需要に対応、段階的に建設を進める計画
ご飯盛付ロボットや寿司ロボットなどを手掛ける鈴茂器工(株)は、9月18日開催の取締役会で新工場建設を決議した。
同社の主要顧客である国内・海外の外食・小売業では、コロナ禍を契機として人手不足の深刻化や人件費の高騰が進み、省人化・機械化ニーズが高まっている。同社製品の需要も高水準で推移しており、今後さらに需要拡大が加速する公算が大きい。こうしたなか、同社の生産活動は埼玉県比企郡川島町にある「東京工場」のみで行っており、稼働率は高い水準で推移。そのため、将来の需要拡大を見据え、さらなる生産キャパシティの拡大、および生産性改善による収益性向上を目的として、新工場の建設を行うための固定資産(工場用地)を2023年に取得していた。同用地における新工場建設は、将来の需要動向や財務影響などを鑑み、段階的な建設に進める計画。今回の新工場建設はその第1期計画との位置づけで、2026 年3月の操業開始をめざすとしている。
なお、同用地の隣接地には、ロボット開発支援を目的に埼玉県が整備を進める「SAITAMA ロボティクスセンター(仮称)」があり、将来的に同センターとの連携による新たなビジネス機会の創出も図っていく考えだ。
※取得用地と新工場の施設概要
所在地:埼玉県鶴ヶ島市太田ケ谷地内(圏央鶴ヶ島IC東側地区南側産業用地 B-1区画)
敷地面積:3万6,137.78㎡
延床面積:8,237.63㎡(鉄骨造/地上2階)
投資予定額:約27億円(建物)
資金計画:自己資金
着工:2024年11月(予定)
竣工:2025年10 月(予定)
操業開始:2026年3月(予定)
※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。