■物流施設 投資関連情報2024版<8.22~8.28>

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<2024年以降に建設・竣工・稼働する物流施設の情報>

■エルナー(株) <8月22日>
青森県弘前市で国内3カ所目の生産拠点となる「青森第二工場」を取得 /導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサの需要増に対応


 太陽誘電(株)の子会社、エルナー(株)は、天馬(株)から青森県弘前市の工場を取得した。同社の生産拠点は、「白河工場」(福島県西白河郡)、「青森工場」(青森県黒石市)に次ぐ、国 内3カ所目。新たに取得した工場は「青森第二工場」として、同社が手掛ける導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサ(ハイブリッドコンデンサ)を増産する予定 だ。
 同社は、主に自動車市場向けのアルミニウム電解コンデンサの開発・製造・販売を行 っている。特にハイブリッドコンデンサは電解質に導電性高分子と電解液を組み合わせることで低ESR(等価直列抵抗)かつ長寿命という特性をもち、自動車の電装化・電子制御化の進展により需要が拡大している。太陽誘電とエルナーはこれを踏まえ、中期的な成長戦略に基づき、将来のさらなる需要増に対応できる生産体制構築の一環として、新たな生産拠点として青森第二工場を取得したとしている。

※「 青森第二工場」の施設概要
所在地 :青森県弘前市大字神田5-1-8
敷地面積:約9,400㎡
延床面積:約1万1,000㎡

■三菱マテリアル(株)<8月23日>
タイで鉱山・土木用工具の新工場を建設/継続的な需要拡大を見込む、将来的に製造能力を従来比2倍に引き上げ


 三菱マテリアル(株)の連結子会社、MMCリョウテック(株)は、同社が製造・販売する鉱山・土木用工具の製造体制を拡充するため、タイに有する同工具製造会社のOTEC (Thailand) Co., Ltd.(OTEC社)で新工場を建設し、製造能力増強を図ると発表した。
 鉱山・土木用工具のうち、岩盤を削孔する工具であるビットおよびロッドは、鉱山や砕石、トンネル工事などの土木工事に広く使用されている。世界的な人口増加による資源需要の高まりやインフラ整備の伸長から、同工具の需要は今後も拡大基調にあり、顧客ニーズに対応した製品の提供と安定した製造体制の構築が求められているという。
 OTEC社は、1997年の設立以来、建設工具の海外製造拠点として着実に成長してきた。今回は、継続的な需要拡大が見込めるロッドの製造能力を増強するため、新工場建設に着工したもの。新工場は2025年10月の稼働をめざし、新たに機械加工設備や熱処理設備を導入する予定。今後は、需要の高まりに応じて製造能力を引き上げ、将来的にはこれを2倍まで引き上げる計画だという。

※「OTEC (Thailand)新工場」の施設概要
所在地:タイ王国プラナコーンシーアユタヤ県、ワンノイ郡
敷地面積:5万4,400㎡
延床面積:1万1,900㎡
製造:鉱山・土木用工具であるロッド

■三菱商事都市開発 (株)<8月23日>
川崎市東扇島に冷凍自動倉庫開発用地を取得/霞ヶ関キャピタル(株)との協業で初の冷凍自動倉庫開発に着手


 三菱商事都市開発(株)は、神奈川県川崎市川崎区東扇島に冷凍自動倉庫開発用地を取得した。同社は11月に工事に着手し、2026年夏に竣工にこぎ着ける予定だという。冷凍自動倉庫の開発は今回が初めてで、霞ヶ関キャピタル(株)と協業して行う。
 ネットスーパーの普及や共働きや高齢世帯の増加等の消費者動向の変化、消費期限延長ニーズの拡大、冷凍技術の発達による中食市場の拡大に伴い、冷凍冷蔵食品のニーズは年々拡大している。だが、新規冷凍冷蔵倉庫の供給不足や、既存倉庫の老朽化などの問題に加え、マイナス温度帯での過酷な労働環境で労働力確保が困難となるなど、コールドチェーンの維持が大きな社会課題となっている。
 三菱商事都市開発は、こうした社会課題解決に貢献するとともに、老朽化による今後需要増加が見込まれる冷凍冷蔵倉庫の建て替えニーズに対応するため、長年培ってきた物流倉庫の開発ノウハウと、三菱商事グループのネットワークを最大限に活かし、自動ラック(パレット)を倉庫内全面に配置した冷凍自動倉庫の開発に着手することを決めた。
 今回開発する冷凍自動倉庫は、東京都心と横浜中心部の中間に位置し、これら二大消費地を広くカバーことが可能。また、東京港と横浜港の二大港湾に加え羽田空港へのアクセスにも優れており、首都圏の主要な物流インフラも活用できる。

※「東扇島冷凍自動倉庫」の施設概要
所在地:神奈川県川崎市川崎区東扇島
敷地面積:5,000㎡
延床面積(予定):2万724㎡
計画概要予定:1階→ 冷蔵倉庫(5℃)、事務室、2階→事務室、3階→冷凍自動倉庫(-25℃)
着工:2024年11月(予定)
竣工:2026年夏(予定)

■(株)カネカ<8月26日>
北海道苫小牧東部地域に医療機器プラントを有する「苫東工場」を開設/吸着型血液浄化器や吸着型血漿浄化器の世界的な需要増加に対応、ロボット技術活用で生産ラインを完全自動化


 (株)カネカは、ポートフォリオ変革と業容の拡大のため、北海道の苫小牧東部地域に、同社として54年ぶり7カ所目の国内事業所となる「苫東工場」を開設した。
 同工場内に完成した医療機器プラントでは、吸着型血液浄化器「レオカーナ」および吸着型血漿浄化器「リポソーバー」を生産する。これらの医療機器の治療対象となるASO(閉塞性動脈硬化症)の患者は、糖尿病や慢性腎不全などの増加に伴い、世界的に増加傾向にある。工場新設による供給基盤の確保でグローバルな需要に対応し、Medical事業を飛躍的に拡大する狙いだ。
 同プラントは、ロボット技術を活用した“スマートファクトリー”として、ラインの完全自動化を実現している。今後はさらに同社の太陽電池を利用し、工場建物の一次エネルギー消費量をゼロにする“ゼロエネルギーファクトリー”を実現することで、サステナブルなものづくりを推進するとしている。

※「苫東工場」の施設概要
所在地:北海道苫小牧市字柏原6番地の253
事業内容:医療機器の製造
投資額:約100億円
竣工:2024年8月26日

■片山チエン(株)<8月27>
「KANA」ブランド製品のタイ国内販売拡大で現地法人の流通倉庫を2倍に増床/主力標準品のカタログ販売の提供品種をさらに拡大


 片山チエン(株)は、タイ国内およびグローバル販売を担うKATAYAMA CHAIN (THAILAND) Co., Ltd.の流通倉庫を増床し、9月に稼働させる。
 「KANA」ブランドのローラチェーン、スプロケット等のエネルギー伝達商品を製造、販売する同社は2019年9月、タイ国内向けの商品供給とグローバル向けの営業活動の拠点を設置するため、KATAYAMA CHAIN (THAILAND) Co., Ltd.を設立。2022年には、ローラチェーン、スプロケットの標準品に関し、「全品即納、1個から販売」を合言葉として、カタログ販売とバンコク市内までの定期配送サービスをスタートし、好評を得ている。同社は今回の流通倉庫増床により、提供できる品種をさらに拡大し、顧客への利便性を高める。
 なお、同倉庫には、ローラチェーンの最終組み立て、およびスプロケットの軸穴加工設備も構築しているという。

※「KATAYAMA CHAIN (THAILAND) Co., Ltd.」の施設概要
所在地 No. 389/40 Moo 10 Tambon Khao Khan Song, Amphoe Sriracha, Chonburi Province 20110
延床面積:2,000㎡
事業内容:ローラチェーン、スプロケット等のエネルギー伝達商品の製造販売

■大和ハウス工業(株)<8月27日>
同社米国初の物流施設開発プロジェクト「Blue Ridge Commerce Center」を着工/5棟平屋建てで総延床面積は約12万5千㎡に


 大和ハウス工業(株)は8月12日(米国時間)、米国大手不動産デベロッパー、Trammell Crow Companyと、米国テキサス州ヒューストン南西部において、同社米国初となる物流施設開発プロジェクト「Blue Ridge Commerce Center(ブルーリッジコマースセンター)」(マルチテナント型物流施設、平屋建て、5棟、敷地面積:37万1,259㎡、延床面積・賃貸面積:12万5,471㎡)の建設に着手した。
 同プロジェクトは、大和ハウス工業の米国現地法人、Daiwa House Texas Inc.(ダイワハウステキサス)を通じて行う。米国ではこれまで、賃貸住宅事業や戸建住宅事業、商業施設事業などを展開し、事業を拡大。米国事業の売上高は、2023年度には5,000億円を超え、2024年度は6,511億円を計画している。
 同施設は、テキサス州ヒューストンの南西部に位置し、世界最大規模の医療研究施設である「Texas Medical Center(テキサスメディカルセンター)」から約20km、ヒューストン中心部から約34kmに立地。また、ヒューストン内の主要産業道路である環状道路に近接することに加え、空路、陸路、海路のいずれの拠点へのアクセスにも優れるなど、物流拠点に最適な環境条件を備えている。ヒューストンは、人口増加に伴うEC需要の拡大や、過去3年間における「ヒューストン港」の取扱貨物量増加により、物流施設の空室率が2021年の8.0%から2024年には4.5%に低下。一方、物流施設の供給不足が続いているため、今後も安定した物流施設需要が続くと見込んでいる。

 同プロジェクトでは、約37万㎡の敷地に5棟の平屋建ての物流施設を開発するもので、施設の総延床面積約12.5万㎡に達する。同施設には、ヘルスケアや石油・エネルギー、飲食料品、消費財、製造業、物流業などのテナント企業の入居を想定。環境面では、全5棟において「LEED Certified」を取得する予定で、うち1棟では太陽光発電設備の設置し、発電電力を自家消費することで、テナント企業の脱炭素化にも貢献できるとしている。

※「Blue Ridge Commerce Center」の施設概要
所在地:テキサス州フォートベンド郡ヒューストン都市圏 マクハードロード・フォートベンドパークウェイ北西部
敷地面積:37万1,259㎡
総延床面積・総賃貸面積:12万5,471㎡(計5棟)
延床面積・賃貸面積
ビルディング1:2万3,875㎡10.97m
ビルディング2:1万4,643㎡
ビルディング3:1万4,299㎡
ビルディング4:3万2,613㎡
ビルディング5;4万0,041㎡
構造・階数:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、平屋建て
建物用途 :マルチテナント型物流施設
着工:2024年8月12日(米国時間)
竣工:2025年8月上旬 (予定)
入居:2025年9月中旬 (予定)

■プロロジス<8月28日>
埼玉県行田市でのBTS型物流施設 「プロロジスパーク行田」開発を決定/東日本エリアの玄関口に立地した広域配送拠点


 プロロジスは、埼玉県行田市でのBTS型物流施設「プロロジスパーク行田」開発を決定した。関東全域・東北地方への広域配送拠点として、自動車、食品、飲料など幅広い業種を想定し入居企業を募集する。
 開発予定地は国道125号「行田バイパス」に近接しており、国道17号線への交通の便も良好。東北道「羽生IC」から10km、「加須IC」から14kmと好立地な富士見工業団地拡張地区内に開発されるため、東北・関越道や首都圏全域へのアクセスにも優れており、交通利便性が高い広域配送拠点としての活用が見込める。周辺では、自動車メーカー、食品メーカー、飲料メーカーなどが生産・物流拠点を構えており、生産工場からの東北・関越地方広域への物流拠点に適しているほか、サプライヤーの門前倉庫(取引先近くに納入品を在庫保管するための倉庫)としての需要も見込めるとしている。
 同施設の敷地面積は約6万㎡。棟数や施設設計は、入居企業の要望に合わせて行う予定で、敷地の分割にも対応する。保管場所の需要が急増している化粧品やアルコール類などの保管も可能なHAZMAT(危険物倉庫)を敷地内に併設することも可能。工業地域の特性を活かし、さまざまな業種・用途の物流需要に対応できる仕様に仕上げる。
 同施設はまた、ドックシェルター付きの冷凍冷蔵倉庫や、重量物に耐えられる床の仕様、低床バースの採用、天井クレーンの設置、庫内空調、およびMH機器やロボットなど省人化対応のための施設設計にも対応可能。外構部分についても、専用待機場や洗車場など入居企業の要望に合わせた設備を設置することができるという。
一方、防災、BCPの一環として、緊急地震速報システムや、災害用無線機「ハザードトーク」の導入も計画。また、ESG推進・環境負荷低減への取り組みとして、施設屋根面に太陽光発電設備の設置を検討しているという。

※「プロロジスパーク行田」の施設概要
所在地:埼玉県行田市若小玉(行田富士見工業団地拡張地区)
敷地面積:約6万㎡(約1万8,000坪)
延床面積:最大約12万㎡(約3万6,000坪)*
構造(予定):地上2~4階建*
着工:2026年春
竣工:2027年秋

■霞ヶ関キャピタル(株)<8月28日>
静岡県袋井市に同社最大規模の冷凍自動倉庫開発用地を取得/将来的に首都圏と関西圏の輸配送中継拠点に


 霞ヶ関キャピタル(株)は、静岡県袋井市で物流施設の開発用地を取得した。 同施設開発プロジェクトは、静岡県袋井市および地元企業との協議・協力のもと、開発用地取得した案件。同社の冷凍自動倉庫開発プロジェクトとしては最大規模になるとしている。
 同社は、2030 年のフロン規制に向けた冷凍冷蔵倉庫の設備投資、冷凍食品の消費増加による冷凍冷蔵倉庫の需要拡大、および2024年問題に起因する労働力不足、就業者の高齢化等の物流業界の課題に対応するため、新たな物流ソリューション実現の手段の一つとして、冷凍冷蔵対応と自動化要素を兼ね備えた冷凍自動倉庫の開発を進めており、今回のプロジェクトもその一環だとしている。
 同社は、「2024 年問題」対応施策の一つである中継輸送に適した立地として評価し、同開発用地を取得した。将来的に首都圏と関西圏の輸配送の中継拠点として、既存物件とのシナジー効果を生み出すため、袋井市および地元企業と連携し、開発投資家を招へいしつつ、今後の開発を進めるという。

※当該冷凍自動倉庫の施設概要
所在地 :静岡県袋井市
敷地面積 :約4万2,000 ㎡
予定用途 :物流施設(冷凍自動倉庫)

※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
 注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。

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