■物流施設 投資関連情報2022版<9.1~9.7>

  • URLをコピーしました!

<2022年以降に建設・竣工・稼働する物流施設の情報> 
※注①:情報内容は取得当時のもののため、年月日、時制など表現がその当時のままです。
 注②:予定・竣工・稼働などの推移別で内容が重複している場合があります。

■(株)アダストリア<9月1日>
EC「ドットエスティ」の物流センターを全面リニューアルにより本格稼働、AGV やPTI・LED仕分け機などの最新MH機器導入により最大3万4,000件/日の出荷に対応


 (株)アダストリアは、グループ物流子会社の(株)アダストリア・ロジスティクスが運営する「茨城西物流センター」(茨城県東茨城郡)内のEC物流センターを全面リニューアルし、9月1日に本格稼働させた。同センターでは、AGVによる歩行レスピッキングシステムや、PTI・LED仕分け機など、オークラ輸送機(株)が提供する最新のマテハン機器を導入しており、効率的で庫内スタッフが働きやすい物流オペレーションを実現しているという。
 アダストリアは、成長戦略のひとつに「自社ECの成長加速と楽しいコミュニティ化」を掲げ、EC事業「EC.st (ドットエスティ)」の拡大に注力している。2022年2月期には売上高が311億円に達し、会員数も1,400万人を超えるなど、着実な成長を遂げている。今回のリニューアは、将来の自社ECのさらなる成長拡大に対応し、出荷業務の効率化と庫内スタッフの作業負荷低減により働きやすさを実現するのが目的。EC物流センターにAGV120台、POD(移動棚)1,400台をはじめとするMH機器を導入した。これにより、1日あたりの出荷可能件数は、従前の最大1万9,000件から最大3万4,000件に増加し、作業生産性は現状の運用と比較して約1.6倍の向上を見込んでる。
 リニューアルにあたりテーマとしたのは「“人”が主役の物流センター」。MH機器・システムメーカーのオークラ輸送機との共働により、30以上のマルチブランド展開や、アパレル・生活雑貨・コスメ・インテリアなど多岐にわたるマルチカテゴリー展開をするアダストリアグループの事業特性に最適な機械化・自動化設計を進めた。ピッキング作業では、約6,000坪の広い倉庫内を歩き回って商品を探す必要がないよう、“人”が歩かないことを念頭に棚の配置や導入機器を設計・選定。また、割れ物の梱包やギフトラッピングなど、働く“人”の手を介することで、受け取る“人”にとっての付加価値を生む作業に、充分に人員を配置することが可能になり、従来以上に正確、迅速、かつ丁寧な商品配送を実現している。
 庫内スタッフの労働環境改善のため、従業員休憩室も全面改装した。ブランド店舗の内装デザインを手掛ける社内の店舗デザインチームにより、ファッション企業らしい雰囲気で居心地の良い空間をデザインしたという。

※(株)アダストリア・ロジスティクス 「茨城西物流センター」の施設概要
所在地:茨城県東茨城郡茨城町中央工業団地1-15(GateA)
倉庫面積:茨城西物流センター全体 約1万5,000坪
〔toB(店舗)物流センター 約9,000坪/toC(EC)物流センター 約6,000坪〕

■大和物流(株)<9月1日>
「福島物流センター」の建て替え工事を開始、床面積約6倍拡張により物流能力を増強

 
大和ハウスグループの大和物流(株)は、福島県本宮市の物流施設「福島物流センター」の建て替え工事を開始したと発表した。
 同社は1998年9月に福島物流センターを竣工し、建材や電気設備などを中心とした保管・輸配送拠点として運営してきた。近年は、需要の高い電子機器や通信機器関連にも対応するとともに3PL事業の拡大を図るため、本センターの建て替えを決定した。
 本センターは、従前の平家建から地上3階建に変更。延床面積を約6倍に拡張し、在庫保管や荷役作業力を増強する。竣工は2023年6月の予定。竣工後は、立地優位性と充実した施設仕様を活かした幅広い物流ソリューションを展開していくとしている。
 本センターは、①長距離輸送の中継拠点に適した立地、②効率的な荷役作業を実現する施設仕様――の2点が特長。①については、東北自動車道「本宮IC」から約5.2kmとアクセスに優れ、東北自動車道と磐越自動車道が交わる「郡山JCT」にも約8kmと近接することから、物流拠点として好立地にあります。「本宮IC」から宮城県仙台市まで約110km、東京都新宿区まで約250kmの距離に位置するため、東北エリアと首都圏を結ぶ長距離輸送の中継拠点としての活用にも優れている。②については、湿気に強く埃も入りにくい高床式ホームを採用。高床式ホームは、ロールボックスパレット(かご台車)などの車輪付きの機器を接車したトラックに直接積み込めるため、出荷頻度の高い商品の取り扱いにも適している。また、トラックバースの半面は庇幅を20m確保し、袖壁を設置しているため、強風や雪などの天候に左右されることなく入出庫作業を行うことができる。
 働き方改革関連法によりトラックドライバーの労働時間の上限規制が適用され、ドライバーが1日に走行できる距離が制限されるなどの「2024年問題」が目前に迫っており、物流業界では中継輸送による輸送距離の短縮などの物流効率化に対するニーズが高まっている。こうした中、同社では全国で物流施設の開発を進め、事業基盤を強化しており、東北エリアでも宮城県仙台市に「(仮称)仙台扇町物流センター」(2022年11月末竣工予定)を開発中だとしている。

※大和物流(株)「福島物流センター」の施設概要
所在地:福島県本宮市本宮字名郷12-3
敷地面積:8,424.44㎡(約2,550.00坪)
延床面積:1万1,686.50㎡(約3,535.17坪)
構造・規模:鉄骨造 地上3階建 高床式
床荷重:1階: 2.0t/㎡、2・3階: 1.5t/㎡
搬送設備:貨物用エレベーター2基(3.6t:1基、4.6t:1基)、垂直搬送機1基(1.5t)
着工:2022年8月31日
竣工:2023年6月20日
稼働:2023年6月21日

■ESR(株)<9月1日>
鉄骨免震構造のマルチテナント型物流施設「ESR川崎浮島ディストリビューションセンター」が竣工、羽田空港・東京都心へのアクセスも良好


 ESR(株)は、神奈川県川崎市川崎区に敷地面積3万2,227㎡(9,749坪)・延床面積6万9,550㎡(2万1,039坪)の4階建てマルチテナント型物流施設「ESR川崎浮島ディストリビューションセンター」(川崎浮島DC)が竣工したと発表した。
 本施設は京浜工業地帯の中心部に位置し、東京都心・横浜市中心部へのアクセスに優れ、陸海空による輸送インフラが整い、幅広い物流ニーズに応えることができるマルチテナント型物流施設。同社として全国で27件目、神奈川県内では4件目の竣工プロジェクトとなっている。
 本施設は、首都高速湾岸線・東京湾アクアライン「浮島 IC」より300mの至近距離にあり、2022年3月に羽田空港と川崎臨海部(キングスカイフロント)を結ぶ「多摩川スカイブリッジ」が開通したことで、東京都心・羽田空港(7km・約10分)へのアクセスがさらに向上している。また、川崎港コンテナターミナルより7.5km、横浜港大黒ふ頭より18km、東京湾大井コンテナふ頭より15kmという立地で、空輸貨物、海上貨物を効率的に保管できるため、輸出入貨物配送における優位性も確保しているという。
 本施設は、神奈川県と東京都の消費地に近く、関東広域への配送にも最適な立地であるため、成⾧著しいECや小売業界の商品物流で膨らむ需要にも対応可能。羽田空港への所要時間も短縮されたことで医療関係など緊急性の高い配送に加え、冷凍冷蔵貨物にも対応できる体制が整った。県内外の広域から労働力確保が容易で、テナント企業の雇用の観点からも有利。本施設最寄りバス停「浮島バスターミナル」までは徒歩3分で、京浜急行「大師橋駅」とJR「川崎駅」からは豊富なダイヤでの通勤が可能。京浜急行・東京モノレール「天空橋駅」から多摩川スカイブリッジを通るバス路線が開通したことで通勤利便性も向上している。
 本施設の建物は4階建て。倉庫が1・2 階と3・4 階の2層仕様のメゾネット式で、最小賃貸区画は約2,900坪となっており、最大6テナントに分割が可能だ。トラックはスロープで3階まで直接アクセスでき、1階30台、3階30台のトラックバースを用意。トラックバースの有効奥行きは 45フィートコンテナトレーラーも乗り入れできるよう14.5m確保し、ドックレベラー各区画1基(計6基)も設置した。倉庫部分は1・2階、3・4階の各区画に荷物用エレベーター各2基と2パレット並列搬送が可能な垂直搬送機各1基を設置。1階は重量物やロボティクス、冷蔵冷凍用途にも対応できるよう床荷重2.0t/㎡、梁下有効高6.0m を確保し、2~4階の床荷重は1.5t/㎡、梁下有効高は2階・3階 5.5m、4階 5.5~6.5m、柱ピッチは1~3階は間口11m×奥行11.5m、4階は間口11m×奥行23mとするなど、物流運営の効率性と汎用性を重視した設計により、多様なニーズに応えることができる。道路からの車両動線は大型車と普通車の出入口を分離し、敷地内にトラック待機場20台を確保することで、安全に配慮した効率的な入出庫オペレーションを実現した。
 同社は、基本理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」に基づき、同社施設で働く従業員にとって快適で魅力的な環境づくり、コミュニティエリアの創出に注力しているという。本施設でもラウンジ等を設置し、全ての従業員にとって利便性と安全性の高い、職場環境を提供。また、同社全施設に採用しているバリアフリー設計も採用し、建物のエントランスにスロープ設置と優先駐車スペース3台分を確保したほか、館内には標準的なバリアフリー設備も備えた。通勤面についても、普通自動車141台(内、優先駐車場3台)、バイク9台の駐車スペースも用意し、利便性もサポートしている。
 本施設では、全館LED照明、環境配慮型照明システム、ヒートポンプ式空調、節水型衛生器具の採用など、環境や省エネルギーに配慮した評価として、CASBEE Aランク認証とBELSの最高位5スターを取得している。さらに、建物屋上に太陽光パネルを設置し、2MW規模の自家消費型太陽光発電所を稼働させる計画で、JQA(一般社団法人日本品質保証機構)によるグリーン電力発電設備認定も受けた後にESR独自のグリーン電力証書発行システムを通じ、環境付加価値を取引する予定だ。
 本施設は免震鉄骨構造のため、大地震発生時にも損傷軽減効果が見込める。BCP対策としては、非常用自家発電設備を設置し、停電時でも一定時間、防災センター、荷物用エレベーター、トイレ等の一部使用が可能。1階トラックバースは手動で開放できるオーバースライダーを採用し、3階トラックバースには各区画1か所のシャッターが停電時でも作動できる体制となっており、停電時でも荷捌き等オペレーションを継続することが可能だという。
 本施設は沿岸部に位置しているが、ハザードマップでは洪水浸水想定はなく、1階トラックバースの入口レベルは東京湾中等潮位(T.P.)+4.95mに設定。津波想定T.P.+3.5m、高潮想定T.P.+3.3mよりも高く、津波・高潮・豪雨による浸水被害リスクは低いとしている
施設運営・管理面では、専任するプロパティーマネジメントチームの下、24時間365日の有人管理体制で非接触型カードリーダー導入等のセキュリティ対策を講じており、テナントが安心・安全に本施設を利用できる環境が整っている。

※「川崎浮島ディストリビューションセンター」の施設概要
所在地:神奈川県川崎市川崎区浮島町400-36
敷地面積:3万2,227 ㎡(9,749 坪)
延床面積:6万9,550 ㎡(2万1,039 坪)
構造:4階建/免震鉄骨構造
工事期間:2021年3月1日~2022年8月31日
総投資額:約240億円
用途地域:工業専用地域

■三菱商事都市開発(株)、インベスコ・グローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インク<9月1日>
「(仮称)札幌米里物流施設計画」での新築工事に着工、2023年秋に竣工予定

 
 三菱商事都市開発(株)とインベスコ・グローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インクは、「(仮称)札幌米里物流施設計画」について、2022年9月1日付で新築工事に着手し、2023年秋に竣工予定であることを発表した。
 本プロジェクトは、案件の組成から開発を三菱商事都市開発が中心となって推進し、開発後はインベスコが運用を担う初めての共同プロジェクトで、三菱商事都市開発として初の北海道プロジェクトでもあるという。本計画地は、札幌市内中心部から約7kmに位置する米里北地区工業団地内に所在し、230万人の人口を抱える札幌都市圏への配送拠点や、道央自動車道「札幌 IC」や札樽自動車道「雁来 IC」への近接性を活かした北海道内広域物流を支える保管拠点としての機能が期待されている。
 三菱商事都市開発とインベスコは、新築工事設計施工会社である(株)熊谷組と共に、物流事業者や 荷主企業にとって使い勝手に優れ、環境認証取得を見据えた高性能な建物づくりに取り組むとしている。

※「(仮称)札幌米里物流施設計画」の概要
計画地:北海道札幌市白石区米里3条2丁目3-1
敷地面積:8,570.00㎡(2,592.42 坪)
延床面積:1万7,079.15㎡(5,166.44 坪)
建物用途:倉庫
構造規模:鉄骨造 地上3階建
竣工:2023 年秋(予定)

■日本GLP(株)<9月1日>
埼玉県上尾市でマルチテナント型施設「GLP 上尾」を着工、地域との調和と就労者の生産性向上寄与を志向したバイオフィリックデザインを採用


日本GLP(株)は9月1日、埼玉県上尾市で総延床面積約10万5,000㎡の先進的物流施設「GLP上尾」の起工式を執行した。竣工は2024年3月の予定で、投資総額は約230億円に達するという。
本施設は、横浜ゴム上尾配送センターの跡地に建設される。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「桶川加納IC」より約7.5km、東北自動車道「岩槻IC」から約10.5km、そして首都高速道路「与野IC」より約11.0kmの場所に位置し、関東一円から東北エリアまでを網羅できる、物流拠点として優れた立地環境にある。JR高崎線「上尾駅」から約1.2km(徒歩約15分)、JR高崎線「宮原駅」からはバスで約9分と公共交通機関でのアクセスも容易で、施設周辺には住宅地が広がっていることから雇用確保の点においても優位性がある。
 本施設は、上尾周辺のエリアでは希少な大型マルチテナント型先進的物流施設。入居対象の企業としては、DC型(メーカー、中小3PLなど)やEC(医薬品・医療機器、マスターリース会社など)、そしてTC型(配送・運送会社、小売り・卸など)を想定しており、幅広い業種のニーズに対応する仕様、設計プランを提供するという。
 本施設は「Co, well-being」との開発コンセプトに基づき、施設内ワーカーや地域住民の健康に寄与する施設として開発する。バイオフィリックデザインを採用した内外装デザインにより、快適な就労環境を整備することで、施設内ワーカーの心身の健康に加えて生産性向上にも寄与し、さらに入居企業へ安定した雇用をサポートすることで事業成長に貢献することを目指す。また、敷地内の緑地を一部パークエリアとして開放し、緑豊かな遊歩道やベンチを設置した休憩スペースを設置するなど、地域住民の利便性をサポートし、地域に調和する施設として開発する。
 本施設が立地する上尾市は、都市計画マスタープランの中で「暮らしの場として選ばれるまち~便利、快適、活力、安全・安心、魅力を備えた質の高いまちづくり~」をまちづくりのテーマに掲げており、地域の豊かな将来像を実現する基本方針を設定している。本施設は、こうした上尾市のまちづくりの一環として、緑や自然の保全や創出を期待されているという。具体的には、緑・自然を利用したバイオフィリックデザインの採用により、上尾市の都市計画の推進にも寄与するほか、地域の発展と豊かな暮らしに貢献できる施設を目指すとしている。
本施設は、①圏央道沿いの在庫拠点ニーズに対応するDC型(4・5階)、②ECや流通加工ニーズに対応(2・3階)、③ラストワンマイルの拠点ニーズに対応するTC型(1階)――といった3つの特長を持つ。施設の仕様としては、(1)各階を4分割プランとしており、最小区画面積は約4,000㎡、最大区画面積約9万㎡とし、ニーズに応じてフレキシブルに対応可能、(2)1~4階は各階アクセスができ、4~5階は二層使いが可能な片車路形式のダブルランプウェイ、(3)輸配送能力向上をサポートする両面バース、(4)縦搬送能力を高める垂直搬送機の4~5階への設置、(4)5階は床荷重を2t/㎡、有効天井高は一部約7.25mとし、物流オペレーションを高効率化、(5)施設全体にバイオフィリックデザインを採用し、働く環境の快適性を確保しながら、就労者の生産性向上にも寄与――の5点が挙げられる。
 本施設のBCP面については、本施設の立地する土地が液状化・洪水・地震のいずれにおいても災害発生リスクが極めて低く、社会インフラの一つである物流を止めない施設としての活用が見込める。環境への配慮としては、自家消費型の太陽光パネルを設置することを検討しており、入居企業の脱炭素化に向けたサステナブルな取り組みをサポートするとしている。

※「GLP 上尾」の施設概要
所在地:埼玉県上尾市愛宕6-1-22
敷地面積:約4万6,000㎡
延床面積:約10万5,000㎡
構造:地上5階建、免震PC造
着工:2022年9月
竣工:2024年3月(予定)
認証取得:LEEDゴールド認証(予定)、ZEB Ready認証(予定)

■西日本鉄道(株)<9月1日>
物流新拠点「福岡ロジスティクスセンター」の営業を開始、全てのモードにおける物流ニーズに対応


 西日本鉄道(株)は9月1日、「福岡ロジスティクスセンター」の営業を開始した。
本センターは、同社が運輸、不動産、流通、レジャーサービスなど、地域に根差した事業を展開している九州の地での物流事業におけるフラッグシップとなる拠点。同社では、九州の製造業、特に自動車産業や、今後飛躍的な成長が見込まれる半導体および関連産業のサプライチェーンの最適化に貢献するとしている。
 本センターは、福岡空港の貨物地区から1km圏内、福岡都市高速環状線「半道橋IC」からは500mと近く、博多港からも7km圏内と航空・海上輸送サービスの提供に適した立地環境にある。同社はこの立地優位性を活かし、サービスの充実・品質の向上を図ることで、九州発着の輸出入貨物の取扱いを拡大する意向。また、航空・海運の輸出入、倉庫業務を取り扱う同社各部門が入居することで全てのモードにおける物流ニーズに対応できるような体制を整うとしている。
 本センターには、温度調整機能を備えた冷蔵倉庫が設置されており、生鮮食品・生花などの保管が可能。西鉄運輸(株)と協働し、保冷保管・保冷輸送を繋げたコールドチェーンを構築することで、西鉄グループにおけるシナジーを追求し、アジアをはじめ、世界で需要のある九州の農水産物、酒類の輸出拡大に寄与する考えだ。また、本センターには非常用電源を設置し、 BCPに対応するほか、共同配送や、再利用可能な器材の導入など、ESG 視点の取組も推進していく。

※「福岡ロジスティクスセンター」の施設概要
所在地:福岡市博多区東那珂2-1-51
営業開始日:2022年9月1日
敷地面積:5,575 ㎡
延床面積:1万1,558 ㎡(倉庫9,501㎡、事務所1,430㎡、ラックバース627㎡)
建物構造:RCSS造(一部鉄骨造)地上4 階建、各階天井高5.5m
床荷重:1階 2t/㎡、2~4階 1.5t/㎡
倉庫仕様:4階空調倉庫/3階冷蔵倉庫、空調倉庫/2階空調倉庫/1階常温倉庫(保税倉庫)
土地建物所有者:清水建設(株)「S.LOGi (エスロジ)福岡空港」 ※同社から一括賃借

■住友商事(株)<9月1日>
神奈川県大和市の消費地近接型物流施設「SOSiLA中央林間」が竣工、延床面積約11万2,000㎡で「SOSiLA」シリーズとしては最大規模に


 住友商事(株)は、神奈川県大和市で開発を進めていた消費地近接型物流施設「SOSiLA中央林間」が竣工したと発表した。同社は近年、EC市場拡大により物流施設需要が高まる一方、トラックドライバーや庫内ワーカーの不足が社会問題となる中、これらサプライチェーンの社会課題を解決するとし、「人と社会をつなぐ物流施設」をテーマにSOSiLAシリーズを展開。消費地に近接したラストワンマイル対応の物流施設開発を進めてきている。
 地上5階建ての本施設は、「SOSiLA」シリーズ最大規模となる延床面積約11万2,000㎡のマルチテナント型物流施設で、希少性の高い危険物倉庫を併設している。東名高速「横浜町田IC」から約5km、首都圏中央連絡自動車道「圏央厚木IC」約6kmに立地しており、都心部および広域にもアクセス可能であるほか、神奈川県内陸部の人口密集エリアに位置し、ラストワンマイル配送が可能な好立地にある。小田急電鉄江ノ島線・東急電鉄田園都市線「中央林間駅」から約1.3kmと、職住近接の就労環境も整っているという。
 ラウンジには、米国View社開発のスマートガラス「View Smart Windows」を導入している。「View Smart Windows」は、屋上に設置したセンサーとAIを利用し、日射量や屋外の状況に応じて窓の色を自動調整することで差し込む光量を最適化するもの。空調や照明によるエネルギー消費を最大20%削減する効果が見込めるほか、ブラインド開閉のための作業負担軽減も図れる。スマートガラス導入は日本の物流施設で初の試みで、住友商事では、業界の新たなスタンダードとなりえる先進的な取組だとしている。
 本施設は、住友商事が開発した物流現場効率化ソフト「Smile Board Connect」と提携しているため、入居テナントは一定期間ソフトを無料で利用できる。「Smile Board Connect」は物流現場で働く従業員の個人単位のスキルデータをもとに各工程の進捗をリアルタイムで可視化するダッシュボード機能や、スキルデータを活用して作業計画を作成する機能など、さまざまな機能で物流現場を効率化するツール。将来的にはオプションとして、AIと量子コンピューターを使用して最適な人員配置を提案する機能も容易する予定で、労働環境の改善にも寄与するとしている。
 各工程の進捗をリアルタイムで可視化
 住友商事は、オフィスビル・商業施設・分譲マンションと並び、物流不動産を不動産事業の「第4の柱」として位置付け、「人と社会をつなぐ物流施設」の実現を目指して「SOSiLA」シリーズの開発を進めている。             SOSiLAシリーズでは、本施設を含め計15棟の物流施設が竣工しており、総延床面積は約105万㎡(約31万坪)超、資産規模は約2,700億円に達するという。2022年には、首都圏に位置する「(仮称)SOSiLA柏」(千葉県柏市)、「(仮称)SOSiLA厚木飯山」(神奈川県厚木市)、関西圏では同社グループの三井住友ファイナンス&リースの子会社であるSMFLみらいパートナーズとの初の共同開発施設である「NEWNO・SOSiLA高槻」(大阪府高槻市)が着工し、それぞれ2023年の竣工を予定。今後も首都圏・関西圏のほか、全国的に開発を推進していく。

■オリックス不動産(株)<9月2日>
環境に配慮したマルチテナント物流施設「厚木Ⅲロジスティクスセンター」を着工、東京ドーム約4個分の延床面積を誇る同社最大規模の施設


 オリックス不動産(株)は、神奈川県愛甲郡において、同社最大の延床面積(5万5,464.63坪)を有する大型マルチテナント型物流施設「厚木Ⅲロジスティクスセンター」の開発に着手した。
 本物件は、圏央道「相模原愛川I)」から約3.8kmの神奈川県内陸工業団地内に位置し、厚木市や相模原市内への配送に加え、圏央道経由での東名高速自動車道・中央高速自動車道の利用により、関東全域・西日本への広域配送が可能。建物は地上6階建てで、ダブルランプウェイ方式を採用。各階には55台(10t車)が同時接車できるバースを備え、最小区画約1,580坪から、最大18テナントが入居できるものとする計画だ。免震システムや非常用自家発電機を設置するなど、BCPにも対応した防災配慮設計とし、近年ニーズが高まっている「危険物倉庫」の設置も計画。入居企業が、一般倉庫では保管できないアルコール類など、消防法上の危険物を同一敷地内で保管できる体制を整える。
 屋上には太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギー由来の電力を施設全体に供給するほか、年間の一次エネルギー消費を実質的にゼロとするZEB認証取得している。環境負荷の低減、地域共生を実現する「四季の庭」を設け、地域環境との親和も図る。また、各入居企業が空調や照明を一元管理するIoT機器など、DXに寄与する設備の導入なども検討しているという。
 なお、同社は今後も、進化するサプライチェーン戦略や環境に配慮した物流施設の開発を推進していくとしている。

※「厚木Ⅲロジスティクスセンター」の施設概要
所在地:神奈川県愛甲郡愛川町中津字桜台4025番1他(神奈川県内陸工業団地内)
敷地面積:7万5,544.56㎡(約2万2,852.22坪)
延床面積:18万3,354.15㎡(約5万5,464.63坪)
規模・構造:地上6階建 RCS造
駐車場台数:普通車493台、大型トラック待機場55台
仕様・その他の設備:トラックバース各55台、床荷重1.5t/㎡、梁下有効高5.5m以上、
全館LED、非常用発電機、空調(3~5階)、太陽光発電設備、
電気自動車(EV)充電スタンド 24台、危険物倉庫
着工:2022年8月1日
竣工:2024年2月(予定)

■吉田運送(株)<9月5日>
「坂東デポ」にインランドコンテナヤードを設置、トラック輸送の効率化で労働力不足・働き方改革に対応


 コンテナイゼーションベース運営(高度コンテナ活用)の吉田運送(株)は、東日本最大規模で運営するインランドデポの内、坂東デポ(茨城県坂東市)をインランドコンテナヤード(CY)として使用可能なものとするため、ハードおよびソフト面を強化した。8月1日には、オーシャンネットワークエクスプレスジャパン(株)として初の内陸CYに指定され、協業を開始。オーシャンネットワークエクスプレスジャパンは、これにより内陸スルーB/L輸送が可能となり、今後、坂東デポを輸出・輸入の拠点として活用するとしている。
 従来、船会社のサービスは、海に接する港湾施設までがその範囲だったが、内陸スルーB/L輸送では、内陸のCYまでにサービス範囲が広がる。輸出入の起点を内陸CYとすることができるため、物流の効率化が図れるとともに責任範囲も明確・単純になり、利用者には大きなメリットがある。今回の施策は、コロナ禍や、異常気象などの自然現象がグローバルで物流に影響を及ぼすことが常態化する中、物流の安定化の一助となり、また2024年問題への対応にも寄与するものと吉田運送では考えており、最大の輸出・輸入地帯である北関東を網羅的にカバーするデポの施設拡充を進めている。今後も荷主、船会社、他のデポ運営業者、運送業者など、各ステークホルダーとの協調を進め、さらなる物流効率化と業界の発展に貢献しているとしている。

※「坂東コンテナターミナル」の施設概要
所在地:茨城県坂東市半谷224-15
保税地区:26W45
利用者コード:2BYDU
収容能力:700FEU

■ESR(株)<9月5日>
M&Gリアル・エステート・アジアとの関係強化により日本の物流施設開発でも資本提携、第1号案件「ESR名古屋南ディストリビューションセンター2」の開発へ


 ESRグループ・リミテッド(以下、ESR)と英国資産運用大手のM&Gインベストメント(以下、M&G社)のアジアにおける不動産運用部門であるM&Gリアル・エステート・アジアは、東京、大阪、名古屋で物流施設を開発するために、同社が運用する「M&Gアジア・プロパティ・ファンド」を通じ、資本提携をしたことを発表した。M&Gリアル・エステート・アジアが最大3.5億米ドル(約486億円)を出資する今回の資本提携により、M&Gリアル・エステート・アジアが投資し、ESRが開発・管理を行う、物流施設のポートフォリオの総資産額は10億米ドル(約1,388億円)に拡大する見通し。本提携の第1号案件として、M&Gリアル・エステート・アジアは、本ファンドを通じて「ESR名古屋南ディストリビューションセンター2」の開発にかかる出資額の過半を負担し、ESRが完成後の施設運営を担当する予定だ。
 本施設は、愛知県名古屋市港区に開発中の敷地面積2万3,775㎡(7,192坪)、延床面積4万8,753㎡(1万4,748坪)の4階建てマルチテナント型物流施設。2022年11月着工、2023年10月竣工の予定で、名古屋港への中間地点と名古屋都市圏の配送拠点として機能を発揮する需要の高い物流拠点だという。本施設には、全館LED照明や外壁には断熱性能の高いサンドイッチパネル、ヒートポンプ式空調や節水器具等の省エネルギーの最新設備機器を導入。環境負荷低減に配慮した建築計画により、CASBEE Aランク認証を取得する予定だ。また、1.5MW規模の自家消費型太陽光発電所を稼働させるほか、グリーンデザインも積極的に取り入れるなど、再生可能エネルギー性能を高め、テナント企業の運営効率向上に繋げる計画をたてている。
 ESRはESGを経営の核とし、持続可能な社会の実現のために、2025年までに達成すべき目標や重要課題を特定した「ESG2025ロードマップ」の戦略に沿ってESGへの取組みを推進。2022年6月に国連責任投資原則(UNPRI)の署名機関となるなど、同社グループ全体でサステナビリティ経営の高度化を進めており、持続可能な物流施設・データセンターの開発に積極的に取り組んでいる。一方、M&G社は「持続可能な将来のために投資する」ことを戦略に掲げ、投資イノベーション、ESGやインパクト投資で業界をリード。同社もUNPRIの署名機関で、低炭素経済に向けた大規模投資の促進を目指す国際 NPOの気候債券イニシアティブ(CBI)のメンバーだ。また、2050年までに炭素排出量をネットゼロにする取組みを達成するため、M&G社では温暖化の大きな影響を与えると言われる石炭火力関連投資を、先進国では2030年まで、新興国では2040年までに投資対象から除外することを決定している。
 なお、ESRとM&Gリアル・エステート・アジアは、これまでにESR傘下のジョイントベンチャーが保有する「ESR市川ディストリビューションセンター」(市川DC)および「レッドウッド弥富ディストリビューションセンター」(弥富DC)の2案件の主要な持分に関する取引をそれぞれ2021年4月、2021年8月に行った実績がある。両施設ともESRの開発理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」に基づいて開発されたもので、テナント従業員に対する快適で安全な職場環境を創出するとともに、環境にも配慮した持続可能な先進的物流施設であり、CASBEE Aランク認証を取得している。また、弥富DCではLEED ゴールド認証も取得し、市川DCでは1MW規模の自家消費型太陽光発電所も稼働しています。

※「名古屋南ディストリビューションセンター2」の施設概要
所在地:愛知県名古屋市港区本星崎町字南3998-9他
敷地面積:2万3,775㎡(7,192坪)
延床面積:4万8,753㎡(1万4,748坪)
用途地域:工業専用地域
構造:4階建/耐震構造
着工:2022年11月1日(予定)
竣工:2023年10月31日(予定)

■(株)サンケイビル<9月7日>
茨城県つくば市における「(仮称)谷田部物流施設計画」の開発に着手、2023年3月竣工予定


 (株)サンケイビルは、茨城県つくば市谷田部における「(仮称)谷田部物流施設計画」の開発に着手した。
本計画地は、常磐自動車道「谷田部 IC」から約300m(自動車で約1分)の距離にあり、東京都心部、並びに圏央道周辺の首都圏各所へも交通アクセスが良好な立地優位性が高い場所に位置しているという。本物件は、バース20台、トラック待機場8台に加え、天井高5.5m、荷重1.5t/㎡というスペックを備えており、シングルテナント型物流施設として2023年3月に竣工する予定だ。
 同社の物流施設開発は、2022年8月に神奈川県厚木市において「SANKEILOGI 厚木」を竣工したほか、新たな用地取得も続けるなど、事業拡大を目指しており、今後もテナントニーズにマッチした物流施設の提供に取り組んでいくとしている。

※「(仮称)谷田部物流施設計画」の概要
計画地:茨城県つくば市谷田部東丸山字長堀112番他(地番)
敷地面積:約1万1,007㎡ (3,330 坪)
延床面積:約1万1,327㎡ (3,426 坪)
構造・規模:鉄骨造 地上2階
着工:2022年7月
竣工:2023年3月(予定)

■大和ハウス工業(株)、(株)フジタ<9月7日>
免震システム採用のマルチテナント型物流施設「DPL茨木北」が竣工、共同出資で組成の目的会社により大阪内陸部の産業団地「茨木北テクノタウン」で開発


 大和ハウス工業(株)と大和ハウスグループの(株)フジタが共同出資で組成した、彩都はなだ開発特定目的会社は、大阪府茨木市で開発を進めている産業団地「茨木北テクノタウン」内に、延床面積約11.5万㎡のマルチテナント型物流施設「DPL 茨木北」を竣工したと発表した。
 関西圏では、EC関連の物流量増加を背景に、マルチテナント型物流施設への需要が堅調に推移しており、首都圏や中部圏に比べ低い空室率を維持しているという。中でも大阪府内は、南港や天保山などの湾岸地域において物流施設開発が進んでいたが、新名神高速道路の開通(2023年度全線開通予定)に伴い、茨木市や高槻市など内陸部での開発が増加。大和ハウス工業とフジタはこうした状況を踏まえ、2015年10月に、茨木市の彩都東部中央東土地区画整理事業地内において産業団地「茨木北テクノタウン」の開発を開始し、その後、順次販売を進めてきた。今回、大型のマルチテナント型物流施設「DPL茨木北」の竣工により、同産業団地の全7区画が完成したとしている。
 本施設が位置するエリアは、希少価値の高い関西圏内陸部の北摂エリアで、流通加工・物流関連企業の倉庫などが集積。新名神高速道路「茨木千提寺IC」から約1.6km、名神高速道路「茨木IC」から約6.4km、と、近畿エリアから広域には西日本エリアまでアクセスできる場所に位置している。「大阪国際空港(伊丹空港)」からも20km 圏内にあり、空路輸送での利便性も高い。近隣には生活環境が整った彩都西地区をはじめとした大規模ニュータウンもあり、職住近接の就労環境も整っている。
 本施設では、地震発生時に荷物や設備のダメージを最小限に抑え、建物の機能を維持するため、免震システムを導入。同システムにより、揺れを軽減できるため、上層階の荷崩れを抑制し、短時間で事業を再開することができる。
 本施設では、テナント企業の従業員の仕事と子育て両立をサポートするため、本施設で働く従業員専用の保育所(運営:(株)ママスクエア)を施設内に完備。0歳から5歳まで最大10名の子どもを預かることができる。職場に保育所があるため、親子通勤が可能なほか、緊急時でも保護者がすぐに対応できるものとなっている。

※「DPL 茨木北」の施設概要
所在地:大阪府茨木市彩都はなだ2-2-1
敷地面積:5万69.51㎡(1万5,146.03坪)
延床面積:11万5,772.50㎡(3万5,021.18坪)
賃貸面積:9万3,082.23㎡(2万8,157.37坪)(各階2 テナント)
構造・規模:プレキャスト・プレストレストコンクリート造ならびに一部鉄骨造、地上5階建
着工日:2020年11月1日
竣工日:2022年8月31日
稼働開始日:2022年9月1日
総事業費:約270億円

目次